教師を始めて4年目。
俺は高校に行った。
いままでは中学で教えていて、可愛い教え子に囲まれていたのに、いきなり大きい人たちに囲まれることになったのは正直怖かった。
だが、学校が真面目な感じで、多少悪い生徒もいるが、他校よりはマシだ。
そんな中、俺は先輩の先生方に二人の生徒を任されることになった。
一人は圭介っていう不良生徒。
もう一人は猛っていうイジメられっ子みたいな生徒。
校長が言うには「仕事の量を少なくする分、その子たちの面倒を見ろ」だそうだ。
だから俺のスケジュールは空きが多い。
こんなんでイイのかと思うが、私立だから勝手なのだろう。
3週間が経ち、だんだんと慣れてきた。
「青木先生」(俺の名字)
「なんですか?」
数学の教師だから質問に来る生徒も多い。
と言っても、授業を受け持っているのは圭介と猛のいる2年3組だけだが。
見た感じ、圭介は髪染めたりしてるけど悪い奴には見えない。
問題は猛だった。
他の先生が言うには「イジメられてるみたい」だそうだが、俺から見たら拒絶してるって感じだ。
話してても壁がある感じ。
ある日。
個別検査っていう服装とかが悪い生徒の服装や荷物を生徒指導室に呼び出して抜き打ちでチェックするのを任された。
だいたいのチェックが終わり、みんなにちゃんと注意できた。
最後の一人は圭介だった。
「あ、こんちわ」
「こんにちわ。じゃあ荷物置いてそこに立って」
「俺、始めてやるからマジ緊張する」
「それで今まで引っかかんなかったのか?」
「ん…まぁな」
「荷物、見られてヤバいモノ入ってないか?」
俺は中身を机の上に出していく。
ペンケース。
ノートと化学と数学の教科書。
ケータイ。
財布
「ん?」
変なモノが出てきた。
ローター。
あと、ローション。
タバコに携帯灰皿。
「なぁ…」
顔を赤くする圭介。
「もらった」
「誰から?」
「言えねぇ」
「自分に使うの?」
「うっせぇなぁ!」
「ゴメンゴメン。ちょっと突っ込み過ぎたね。でも、タバコは没収ね」
俺はタバコを没収したものを入れるボックスの中に入れた。
「他のは?」
目を合わせずに訊いてきた。
「興味がある歳だし」
「ありがと」
「じゃあ遅いから気をつけてな」
「おう!」
俺の頭の中は圭介がローターを使う姿でいっぱいだった。
続く。