渡辺 遼太はクラスの中で一人だけ浮いている存在だった……いわゆる変わり者である。いつも眠たそうな半開きの目つきで、それがどこか気だるそうで、何に対しても興味をしめなさそうで……。でも決して偉そうとかそういうのじゃなくて、とてもクールな印象だった。何か僕達とは次元の違うところにいて、超越した感じ、いつも彼の周りには涼しい風が吹いている印象だったのだ。
『話しずらい……』俺が感じたのはそれくらいだった。
でも実際、俺も今までクラスの誰かとまともな会話をしたかと言われれば、そんなことは一度もなく、俺も周りからは相当な変わり者だと思われているに違いなかった。だから変わり者同士二人組みになれて調度よかったのかもしれない。俺には彼のようなクールさは持ち合わせていないけど……
全員が二人組みになれたところで、先生は言った。
「じゃあバディも決まったところで、これから残りの時間をやるから、まずはお互いのことをもっと知るところから始めよう。お互いどこが得意で不得意なのか、お互いどこを補完し合えるのか。今後のプランを立てる時間にあててくれ。席は勝手にいどうしていいから……じゃあ、始め!」
するとクラスメイト達は一斉に立ち上がって互いのペアのところに集まっていく。わかってはいたけれど、当然渡辺がこちらに来てくれることもなく、俺はとりあえず教室の真ん中の席は嫌だったから立ち上がって、渡辺のところへ向かった。