◆終礼のベルが鳴る。それまで開いていたPCを閉じて携帯をチェック。息子のユウマからメールが着ている。
●「今スーパーにいるんだけど晩御飯は何がいい?」
◆「今仕事終わった!そうだな…煮魚が食べたいな。」
●「爺くさっ(笑)りょーかいv」
俺はナオト。普通の商社マンだ。今は息子のユウマと二人暮らし。と言ってもユウマは俺と血は繋がってない。去年病気で亡くなっちまった奥さんの連れ子だった。初めて会った時はユウマが中学生の時だったんだけど、母親に似て肌が透き通るくらい白くて、サラサラヘアーで前髪をピンで止めて、まるで女の子みたいなかわいいやつだったんだ。俺らの心配とは裏腹にユウマはすぐに俺に懐いてくれて、2人だけで出掛けるくらい仲良くなった。親父と息子ってよりも年の離れた友達みたいな感じだった。実際ユウマはあの年頃にしてはよくやってくれてると思う。高校生なんて遊ぶことが勉強より大事だと俺は思うんだけど、平日はほとんど家に直帰して、夕飯の支度から洗濯、風呂掃除まで家事全般を文句も言わず、しかも器用にこなす。ユウマ自身は全く今の生活スタイルを苦に思ってないようで、家事を全くこなせない俺としては彼に頭が下がる思いだ。晩御飯の支度が整うまでにちょっと時間があるから
◆「今日は帰りにジムに寄って帰る。ビール冷やしていてv」
とメールすると、
●「は〜い」
俺は準備を整え会社を後にした。