長身で、肩もごつくて、堂々とした姿勢の影。
・・・部長の満であることはすぐに分かった。もう3年も一緒にテニスやってる俺のペアだ。
満はいいやつだ。部長として人望も厚い。きっと見かねてタイキの練習を見てやってるんだろう。
でもなんだよ。なんでだよ。なんで満がいるんだよ!
俺はムカムカした。誰に対してぶつければよいのかわからない怒りが、どんどん込み上げた。
満の大きな影が、小さいタイキに覆いかぶさる。。
あ。。。小さなタイキが見えない。。タイキのサービスのフォームを、満はタイキの背中側から回って、直してあげているらしい。
タイキの細い手を、満の腕が掴んでいる。満の胸とタイキの背中が密着している。
腰が・・満の股間がタイキに押し当てられているように見える。。
ちょっとかがんだ満の顔は、ちょうどタイキの汗が流れる首筋を味わうような位置だ。。
タイキは、じっとされるがままだ・・「ふーっ、ふーっ」タイキの荒い吐息が聞こえてくる気がする。
「パコーン」タイキがサーブを打った。ナイスサーブだ・・
実際にはフォームを直していただけの満とタイキの数秒間が、俺には数時間の悪夢にも感じた。
ほどなくして、「じゃあな」という満のさわやかな声が聞こえ、大きな影はコートを去って行った。。。