あの日から1ヶ月がたとうとしていた
僕はあの日
全裸で倒れている先輩を残して体育館を後にした
だから先輩が
みんなにバレないようにどうやって体育館を脱出したのか僕は知らない
後に
バレー部のやつらが
全裸の青山浩介を体育館で見たいう話をしていたけれど
みんなは
「そんなのデマだ」と
一蹴しすぐに噂話は消えていった
あれから1ヶ月…
チャイムが鳴り
HRが終わると
僕は山本くんと一緒に部室へ向かった
僕の所属する美術部は
顧問の先生が有名な芸術家らしく
文化部には珍しい
部員50人の大所帯だ
と言っても
部員はほとんどが女子で僕ら男子は10人にも満たなくて
肩身の狭い思いをしている
階段を上りながら
山本くんが嬉しそうに話す
「きょうの部活たのしみだよなー」
心なしかスキップしているようにも見えた
きょうの部活は
ヌードデッサンだ
山本くんを含め
美術部に入部する男子はこのヌードデッサンが目的のやつが大半だった
「どんなモデルさんだろうワクワクするなぁ。きれいなお姉さんがいいなあ」
と山本くんはひとり妄想にふけっていた
部室につくと
すでに部員全員が揃っており
モデル用の椅子を囲むように
みんな席についていた
僕と山本くんが席につくと顧問の先生が口を開いた
「きょうはヌードデッサンの日でしたが、モデルの女性が来られなくなってしまいました」
はぁあああ!?
勢いよく立ち上がり
先生に抗議するのはやっぱり山本くんだった
男子はもちろん
女子もざわついていた
そんなどよめきを気にせずに先生は続ける
「けれど、急遽、新しいモデルが見つかってね。…入ってきなさい」
先生が教室の扉に向かって言い放つと
扉がガラリと開いた
っえ?
どよめいていた教室が一瞬にして
凍りついた
僕は心の中で笑った
全てが想像してた通りになったから
全てが僕の手の中にあるように感じた
扉を開けて
うつむきながら入ってきたのは
青山浩介だった
さぁ
みんなの前でストリップをしてもらおうか
僕は
驚くみんなに混じり
これから始まる楽しい部活を冷静に企てていた