若林君が入って一週間目
ある程度のメニューは覚えて一人でやれるぐらいにまでは成長したようだった
僕のことは相変わらず“あの”呼ばわり(笑)
会話もあまり成り立たず,タメ語だらけ
そんなときある事件?が起きた
若林君が作った野菜炒めは焦げがたくさんあってとも客に出せるようなものではなかった
「ごめん,若林君,作り直して。これ自分が出されたらどんな気分になる?」
「え〜〜〜マジで!?面倒くさ」
素直に謝らないこの言葉にカチンときた
「あのさ,キミ働きよるんで?時給貰いよるんやろ?お客さんからお金もらっとるんじゃけ,こんな適当なことしたらいけんやろ!それくらい高校生なんだからわかるやろ」
ちょっと強めに言った
すると彼は
「すんません」
作り直した
あれ?意外にキレてくるかと思ったら素直に従った
結構可愛いところあるじゃん。少し彼を見直した
それから彼は失敗すると素直に謝るようになった
少しだけ成長した彼を見るのはうれしい
なんか親の気持ちがわかる
そんなある日
僕が大学から帰って電車に乗っていると彼がいた
しかもブレザーだった
ブレザーの着方マジチャライ
ティンバースにシャツダラってやって髪ツンツン
マジどこのヤンキーかと思った
こっちに気づいた
「あれ?大輔さんじゃん」
初めて二週間目にして呼ばれた
「おぉ!若林君学校の帰り?」
「うん。つーか学校バックれた」
「マジ?ダメじゃん。ちゃんとせんと大人になれんよ」
「高校なんか行っても意味ないし。つーか大輔さんって私服のほうがいいね」
「は?何言ってんの?」
「可愛いね」
「は!?マジ大丈夫か?」
「俺の肩ぐらいしか背なかったんだね。バイトではなんか大きく見える」
マジ失礼こいつ
でもなんかバイトの制服以外で話すのはなんか新鮮だった
同じ駅で降りた
意外に会話が成り立つ
「じゃあ」
「うん!バイバイ」
バイバイ?(笑)
マジ子供か!
別れたあと僕は自分の顔が赤いのに気づいた
少し照れてしまった
なんか外で会うと彼が一段とカッコよく見えた
年下にドキドキするとか・・・
しかも大輔さんって呼んでくれたのがうれしくて
僕は彼に恋をしてしまったようだ・・・