初雪が降った。
ほぼ平年通りだ。
北海道の冬は半年続く。
東京に住んでる友達なんかは雪がうらやましいと言うが、はっきり言って、うんざりとする。
だけど初雪だけは別で。なんでだろう。
この時期になると、早く雪が降らないか、ワクワクして、待ち遠しくなってしまう。
この日は珍しくメールが続いた。朝のメールが、
「題名;のぶくん誕生日おめでとう
本文;今日誕生日すよね。おめでとです。
暇なんで良かったら夜とか遊ばないすか?」
このメールを送ってきたのは、いつぞや、掲示板で会ってHした、俺をタカシと呼んでた、浩輔(こうすけ)だった。
あの後、謝って普通に遊ぶようになっていた。
俺はとりあえず、用事がある為、今度遊ぶ約束をした。
今日11月18日は俺の誕生日。
でも、昔から自分で誕生日を言うのとか苦手で、回りも知らない人がほとんどである。
勿論、准や愛斗にも言っていない。
だけど、
「題名;ちゃお
本文;よっ!のぶ明日誕生日でしょ?
光一札幌来てるんだよね。遊ばない?」
と、准からメールが来た。 俺は、准にも言った事がないのにな、と腑に落ちなかったけど、淋しい事に予定が何もなかったんで、遊ぶ事にした。
仕事が終わって携帯を開くと、谷と、これは本当に珍しい事だが、みちからメールで、おめでとうと添えられていた。
二人、というか准も同じところで働いていて、二人とも遅番で、今日は来れないらしい。
みちからメールがくるなんて、意外ですごく嬉しかった。
愛斗からも来ていたが、愛斗のメールは、なんて事のないメールだったから、愛斗は知らないらしい。
新札に行くと、改札に准と光一が待っていた。
光一とは愛斗と遊んで以来だから、半年ぐらいぶりになる。
俺達は、つぼ八でご飯を食べた後、カラオケに入った。
准「のぶ、誕生日おめでとうね」
俺「ありがとう。てかどうして俺の誕生日って分かったの?」
准「アドレスに数字入ってるよね。大抵は誕生日だからさ」
俺「あっなるほどね。てか俺、誕生日って、こうやって誰かと過ごした事ほとんどないから、ほんとうれしいさ」
光一「へぇーのぶあんま友達いなそうだもんね笑」
俺「失礼な。回りに言ってないだけだから」
准「なんで言わないの?」
俺「祝われ慣れてないからなんだか照れ臭くて」
准「祝われなれてないって笑俺と光一ならいいの?」俺「うん」
准「じゃあさ、これから、のぶの誕生日は俺達が祝ってあげるよ。
今年も来年もずっと。
だから、今度からは一緒に誕生日過ごそうね」
俺は、この何気ない一言に感動し嬉しくなった。
自然に目頭が熱くなった。好きな人と誕生日を一緒に過ごせる。
想像しただけでも幸せだ。それに、ずっと一緒にって想ってくれてる。
言わない誕生日の日にちまで、察してくれている。
准のこうした気遣いが俺にはスゴイうれしくて。
その優しさに思わず目が潤む。
酒のせいかも知れない。
光一「のぶ泣きそうじゃんそんなんで泣くなよ笑」
俺「うるさい、泣いてないし」
俺は必死で堪えた。
自分の誕生日に祝ってもらえた事あったかなと回想してみた。
思い出せるのは、高校の時に付き合っていた、工藤の時くらいか。
なんか、ふと懐かしく思った。
一通り話すと、歌う事になった。
まぁ自分歌下手だけど、人数少ないから、いいか。
准はプロを目指すだけあって、なんでも唄った。
でも、やっぱりサスケの青いベンチを唄っているトキが好きだ。
なんでこんなに切ない歌声が出せるんだろう。
そして、歌が上手い人はなんでカッコ良く見えるんだろう。
光一も今時の若い子らしく、カラオケ慣れしていてケミストリーやL'Arc、GLAY特にレミオロメンの粉雪が得意のようだ。
酒も浴びる様に飲んだ。居酒屋からビール、焼酎、キウイサワーを飲み放題でずっと飲み、カラオケに着いてからは、カルーアミルクを何杯も飲んだ後、ウイスキーのロックダブルをずっとかきこんでいた。
2時を回り、そろそろ帰ろうかという頃には、結構ぐでんぐでんになっていた准「げっ、結構飲んだね笑気持ち悪っ。もう飲めないよ」
俺「だらしないなぁ、貸してみな。准。うっ」
俺は准のウイスキーと、自分のウイスキーをイッキ飲みした。
これが良くなかったのだろう。
ドクンと吐き気が襲った。まだ、吐くまでには時間があったから、トイレに駆け込んで、便器に戻した。
帰り道は足元がフラフラだったが、もうすっかり出来上がっていて、笑ったり歌ったりして大変だった。寒さで、くしゃみが止まらなかった。
准の家に着いた。