家に着くとさらに缶チューハイを開けた。
准「笑結構飲んだよね。で光一は最近恋愛上手くいってるの?」
俺はドキっとした。
光一の恋愛って愛斗の事じゃん。
光一「全然。俺ってこっちじゃ、かなりモテる方だと思うけど、好きな人には全然好きになってもらえない准「そっかぁ、でもみんなそうだと思うけどなぁ。
前彼はどんなだったの?」光一「カッコ良かった。
でもそいつ最悪で。隠れて浮気してた。
でも好きだったから、見ないフリしてたけど、携帯見たら、俺には全然メールしないのに、いっぱいしてるし。ムカついて。別れよって。そしたら止める訳でもなく、じゃあって。ヒドクない?俺ってなんだったのって思ったよね」
俺は自分の境遇と重なり何も言えなかった。
准「ヒドイね。てかこっちって浮気する奴多くない?あと圧倒的にヤリ目多いんだって」
光一「分かる。会って、向こうの家に行ったら、ソッコーだよね。でもタイプだったらやっちゃうけど」
准「タイプならヤルよね笑」 ああ、皆同じなのね。タイプならするよね。てか、そういうのが良くないんだよね。
准「で、今はどうなの?」
緊張がほとばしる。
光一「市ノ瀬が好き。だけど、好きな人いるみたい」准「まだ市ノ瀬なんだ。のぶ、言っていい?」
俺は隠す訳にもいかないと思い、頷いた。
光一「知ってるし」
俺「えっ??」
光一「この前、告白されたんでしょ?」
俺「う、うん」
光一「俺も市ノ瀬に告白したんだ。ずっと前、三人で遊んで、最後二人で一緒にいるトキに、好きな人いるって言われた。
でも、付き合ってる訳じゃないなら、別に引く事ないし、アピールしたんだけど構ってもらえなくて。
それで、この前耐え切れなくなって、会って告ったらのぶに告白したって」
俺「、、」
准「市ノ瀬に告白したんだ」光一「てか、のぶヒドクない?俺が市ノ瀬好きなの知ってて、知らない間にモーションかけて、俺とんだピエロじゃん」
俺「モーションって。俺、愛斗に俺から何かした覚えないよ」
俺は言ってから、本当にそうだったか、振りかえってみた。本当に俺から何もしてないか?否。
愛斗に好かれたいという自分も確かにいた。
光一「ほら、考えてるし。大体、何もないのに告白される訳ないじゃん。俺が好きなの知って、愛斗とうまくやろうとか卑怯だよ」
准「ちょ、光一言い過ぎだから」
光一「何がさ?大体のぶは准が好きなんでしょ?
好きじゃない人とキスしたりしないよね?てか好きって言った事あるよね?」
俺「うん。俺、准くんが好きだ」
光一「なのに、市ノ瀬にもちょっかいだすって、のぶって節操ないね。誰でもいいんだ」
俺「はぁ?節操ないって?」光一「その通りじゃん、准が好きだって、言ってみたり、市ノ瀬の告白を保留したり何がしたいの?」
、、、確かにその通りだ。自分の曖昧さが今の状況を作りあげている。
だけど、、
俺「光一は俺が愛斗に迫ったみたいに思ってるけど、いや、愛斗に良く思われたいって思ってる自分もいるけど、実際どうして、愛斗が、俺の事をそんなに想ってくれているのかが分かんないんだ。愛斗と会ったのは2回。1回は光一と。2回目は准くんたちと家に来た日だけ。この間に二人で会ったり、メールで迫った事もない。何なら、愛斗とのメール全部見る?」
光一「じゃあなんで、告白されたのに断らないの?」俺「俺、准くんが好き。だけど愛斗も好きなんだ」
光一「最悪、やっぱ誰でもいいんじゃん。ねぇ、付き合えれば誰でもいいんでしょ?てかヤレれば。」
准「、、」
俺「そうじゃない。二人を好きになったのは、ホントに自分でも最悪だとは思ってる。でもきちんと自分の中で、結論を出して告白しようと思ってる」
光一「はぁ、品定めしてるんだ。どっちと付き合えば得か。准も、市ノ瀬もバカにされてるよね。
じゃあさ、准にしてくれない?そうすれば、俺にもチャンスあるから」
俺「バカにしてるのはどっちだ」
俺は光一に掴みかかった光一「オマエ何してるんだよ?」
俺は光一を下にし、もつれあった。
光一の長く伸ばした爪が俺の体にめり込む。
俺「今の言葉取り消せ。准に謝れ」
光一「オマエが悪いんだろう、オマエが謝れ」
准「やめなって、二人とも」光一のケリが、やや俺の脇腹に入る、ぐっ。
そのまま、ベッドの方に少し下がった。
光一の言ってる事も分かる。だけど、ものの見方って一方だけじゃない。
だから、そういう風にとらえられているのが、悔しかった。
俺は、光一を殴った。
光一も俺を殴った。
准は必死で止めていたけどお互い止まらなかった。 すると、准が大きな声で、「ヤメロって言ってるだろう」と張り上げた。
俺と光一はビクッとして振り返る。
准が大きな声を上げた事は今まで一度もない。
興奮覚めやらぬまま、ハァハアと肩で息をした。
次の准の一言まで間があった。空気が張り詰める。准「ここ俺んち。みんな寝てるんだよね?少し考えてくんない?」
俺、光一「ごめん」
准「のぶは俺と市ノ瀬どっちとるの?」
准から、この台詞が出るとは思わなかった。
ひょっとすると、ずっと考えていたのかも知れない。俺「俺、どっちを取るとかどっちを振るとか言える立場じゃないよ。好きな人に告白したいだけなんだ」
准「結局、俺と市ノ瀬で品定めしてるって、光一の言う通りじゃん」
俺「ちがっ、、」
准「じゃあ何が違うか言ってみてよ?」
俺は真っ白になり、言うべき事があったのに、何も答える事ができなくなった准「何もしゃべらないってその通りなんだ。のぶは顔がいいからね。今までもそうやって、気になる奴が入れば、色気使ってその気にさせて、たぶらかしてきたんでしょ?」
俺「たぶらかすって。それ本気で言ってんの?」
准「おれ、のぶの事信じてたのにがっかりだわ。なんで、こんな奴に少しでも気持ち、もっていかれたんだろって、今なまら虚しくなった。おれ、もういいからさ愛斗とイチャつきなよ。どうせ長く続かないと思うけど」
俺「俺帰るわ」
准「帰る?あっそう。今帰るんだったら、もう二度と来なくていいから」
俺「分かった」
准「分かったって。もう俺と脈ないって分かったからどうでもいいんだ。
絶交だからな」
俺は荷物をまとめた。
俺「おじゃましました」
准「、、今帰ってもタクシーなんて、この辺り拾えないから。てか絶交するんだったら、みちとか谷にも近づかな、、」「バタン」
俺は涙で階段を下っていた