うっうっ、、
終わった。
もう。
何もかも。
全ては一瞬で。
ありえないほど嫌われ、俺の恋愛が終了した。
泣かずにはいれなかった。何でこんな事になってしまったんだろう。
『なんでこんな奴に、、』『虚しくなる、、』
准の言葉が頭の中で反復する。
『絶交だからな、、』
リフレインする。
ずきずきと頭に突き刺さる
外に出ると、風が噴き荒れていて、中に混じるみぞれ粒雪。
まるで、桜が強風で散っていく様相を帯び。
決定的に違うのは、春の桜は暖かいが、冬の桜なんて凍みるほど冷たい。
さっきまであんなに晴れていたのに。
もう、濡れていくのとかどうでも良くなっていて。
もう、ビシャビシャになりたかった。
あーーー
俺は風以外無音の静寂に包まれた住宅街のど真ん中真夜中に叫んだ。
光一の食い込んだ爪跡が痛む。
俺はもう准に告白する事を決めていた。
自分の誕生日だから、こんな日に好きな人と付き合えたら最高だと思った。
だけど、実際は告白どころかこんな有様。
歯止めが効かなかったのは酒の勢いだって分かってるけど、俺はもう会える事はないとうっすら感じとっていた。
告る前にフラれる。
こんな悲惨な事が他にあるだろうか?
せめて告らせてよ。
もう、会えないのかな。
もう、やり直せないのかな大粒の涙がこぼれ落ちる。
俺は大きな通りまで、ようやく辿り着いた。
雪は止んでいた。
タクシーがやってきた。
ハッとした。
参った。
実際、こっから家までタクれば、5千は飛ぶだろう。仕方ないか。
「札幌駅まで」
運転手は返事もせずに、車を発進させた。
と同時に携帯が光る。
准だ。
俺は折りたたみの携帯を開き、恐る恐るメールを開く。
心臓が高鳴る。
だけど、その内容は、
『どうせこれから、市ノ瀬のとこ行くんでしょ?』
俺は絶句した。
さらに追い撃ちをかけてくる准に、さっきまでの哀しい気持ちは吹っ飛び、怒りが沸々と込み上げてきた。俺はこのメールを無視した『シカトとすんなよ』
なんだコイツ。
『自分の都合が悪い事があったらすぐ帰るとか、まるでガキだね』
俺はこの一言にホントにブチ切れてしまって。
『どっちがガキよ?マジうざいから。死んでくんない』と送った。
すぐに着信が来たけど、絶対言い争いになると思ったんで、とらなかった。
すると、
『のぶヒドイや。今までありがとう。ごめんね。元気でね』と返信がきた。
俺は後部席で声をたてないように号泣した。
俺、、最低、、
ホントに終わってしまったもう会うことは出来なくなってしまった。
そのやり取りの直後にまた携帯が鳴った。
今度はみちからだった。
みち「のぶ、准とケンカしたんだって?」
俺「、、うん」
みち「みちはどっちが悪いとか知らないけど、今回だけでいいから、許してあげてくれない?あの子、のぶの誕生日できるって、前からめちゃ楽しみにしてたんだよね。
どんな理由であれ、ケンカはしたくなかったはずだから」
准が俺の誕生日を?
だけど、この時はムキになっていて、素直になれない自分がいた。
俺「准にもう会いたくない」みち「ケンカしたから?」
俺「顔を合わせたくないんだ。自分からは謝りたくない」
みち「のぶは准よりも大人じゃん。准はこのまま終わるのはやなんだって。
アタシ、何ものぶから謝んなって、言ってるわけじゃないから。
自分から折れるのは嫌なのかも知れないけど、話を聞く場を持つのは、折れた事にならなくない?
むしろ仕切り直しをできるって、逆に大人だと思うけど」
俺は考えて、、
「どうすればいい?」
みち「今どこ?」
俺「公園。ちょい大きめの」みち「タクシー降りて」
俺は精算し公園に入った。みち「青葉公園でしょ?
今、准そっちに行かせるから。行ったら、怒んないで話聞いてあげて」
俺「分かった」
俺はガキだった。
准は俺のために、誕生日を祝ってくれたんだ。
大人げなかった。
一体、自分何をやってるんだろうと、心底情けなくなった。
雪が降っていないとはいえ、相当冷えこんで悪寒が走った。
ヤバい風邪引いたかも。
俺は入口間際のベンチに腰をかけた。
10分くらいは待っただろうか。
着メロ、『サスケ青いベンチ』が鳴った。
それと同時に、真後ろからも同じ、青いベンチが聞こえてきた。
振り向くと、准が立っていて、、
俺と目が合うと駆け寄った。
すっげぇ泣いた跡が分かるくらい顔がぐしゃぐしゃになっていて、、
准「こんなカワイイ子泣かすなよな」
そう言って、俺にぎゅっと抱きついた。
抱きついてきたその身体はわなわな震えていて、、そして、俺の胸で泣き出した。
泣き声は次第に大きくなって、、
外と俺の身体は心底冷えきっていたけど、めちゃくちゃ准が温かくて、、
かわいくて、、
愛おしくて、、
ドク、ドク、ドク。
俺は、心底ゴメンという気持ちとまた会えて良かったという気持ちで胸がいっぱいになって、、
准に気付かれぬ様泣いた。 俺は、、やっぱり准が好きだ。
俺は、、この日の事は一生忘れないだろう。
俺の24の誕生日の話、、