1、出会い
初めて会った瞬間に恋に落ちてた・・・
・・・ついに東京か。
東京に来るのは3度目だ。
1度目は、学生の頃遊びで。2度目は会社の入社式で。
そして今回3度目は、今までと違い一時的な滞在ではない。
これから当面は東京に住むことになるだろう。
新しい土地、新しい職場ってのは、不安と期待が一杯だ。
今までも、経験してきた。
高校に入る時、大学に入る時、そして会社に入るとき。
人によっては苦手な人もいると思うが、俺はこの変わる瞬間が好きだ。
元来の飽きっぽい性格、好奇心の強い性格のせいだと思うが、また一方で俺自身も新しく変われる瞬間だからかもしれない。
ただ、この性格は正直恋愛には最低な性格で、今までもこの後も問題を引き起こすことになる。
・・・ふー、一週間あっという間だったなぁ。
東京の本社で、新しい業務と新しい職場の仲間と接した一週間がすぎた。
結構悪くない、職場の皆は俺より10コくらい年上だけど、いい人たちばかり、得に俺についてくれた先輩兼上司は丁寧に教えてくれ、すごい勉強になった。
・・・東京という道を選択して良かった。
素直にそう思った。ただ一方で、寂しさもあった。
この土地には友達があまりいない。過去の人脈をたどれば全く知り合いがいないわけではないが、仲の良い友達、親友と呼べるヤツはいない。また、当然恋人もいない。
知らない土地で仕事以外の付き合いがないってのは結構しんどい。
もちろん、会社の人とは飲みにいったりもしたが、同世代で色々話せたり、遊べたりできるヤツがいなかった。
そんな週末、さて何しようか、と考えたとき俺はゲイの街「新宿二丁目」に向かった。
元々大阪にいたときも、「堂山町」というゲイタウンにはよく行っていた。酒を飲んだり、喋ったりするのが好きな俺は、そういう街が好きだった。
また、「二丁目」には大阪の時の友達もいたので、行かない理由がなかった。
そして出会ってしまった
今思うと、出会わなければよかったかもしれない。
こんなにつらい思いを抱えるなら。