1月20日
准の誕生日
俺は告白した
この日の事は一生忘れられないだろう
准、、
准の事ばかり考えている自分がいる。
もう何日も経っているのに考えると決まって、クリスマスの事を思い出してしまう。
目が覚めると俺の胸に寝顔があり、両腕を俺にぎゅっと回して、足は絡みついていて、すごく温かくて。柔らかくて。
すぅすぅとした寝息。
キレイに染められた前髪がサラサラで。
指を絡めてもサッとほどけてしまう。
可愛くて。
寝顔がキレイすぎて。
起こすのがもったいなくてつい魅入ってしまう。
准「んっ、伸之おはよっ」
にこって笑う准を見て、俺は、、してしまった。
いつから好きになったんだろう。
クリスマス
秋頃
連絡が途絶えてから再会した日、泣いた日
俺が靴を返した日、汚した日
多分、もっと前で。
きっと、一番最初に会った日で。
それは出会った瞬間で。
一目見た瞬間だった。
一目惚れに違いなかった。
准とは、クリスマス以来会っていないけど、思い出すたび、たまらなく幸せな気持ちになる。
既に仕事も休みに入っていたので、暇になって、手持ちぶたさだった。
いろいろ考えていたけど浮かぶのは准だけじゃなくて、愛斗の事もあった。
あんな感じになったので、何となく気まずい想いと、どうしているのかと 。
あれから連絡もないし、こっちからはしづらいし。あの時は少しびっくりしたのと、軽く反省してもらおうくらいにしか、本当になんとも思ってなかったからこのままの状態が続くのは正直バカらしい気がした。
愛斗にメールを打つ。返信はなかった。
もう会わないつもりかも知れない。
ムカついた。
あれぐらいの事で。
でも、それより強かったのはもう会えないのかな、という寂しい気持ちだった。
クリスマスが終わると世間は一斉に暮れに向かっていく。
明けてから実家に戻るつもりだったので、とりあえず札幌にいる事になった。
祖母は元来の糖尿で血糖値が400くらいになってしまい、急遽入院すると聞かされていた。
一人で過ごす事になると考えてた矢先、准から、正月にいつものメンバーで年越しをしようという誘いがあった。
モチロンOKした。
12月31日
新札幌駅で18時集合、、のはずが、いざ来てみると谷しかいない。
俺「時間間違えてないよね」谷「私にもメール来てたから」
俺「今日って誰々くるの?」谷「私達と、准、みち、光一、あとたぁくん」
愛斗は来ないんだ、、
俺「たぁくんって?」
谷「前からの知り合い」
俺「そうなんだ」
谷「ほんと、みんなどうしちゃったんだろう」
俺「俺、准くんに電話してみる」
谷「私はみちにかけるね」
、、でない。
するとすぐに、俺の携帯に着信がかかった。
俺「准くん?てかめちゃ騒がしいんだけど。今どこにいるの?」
准「ごめん。今みちるとかとパチンコやってて、みんな出ちゃって、どっかで時間つぶしてて」
俺「だってさ。どうしようか?」
谷「もう。みち達最低。のぶ私ん家行こうか?」
俺「お願いします笑」
谷の家には何回かおじゃましていた。両親とも面識がある。
俺はとりあえずジャスコでカニを買って、おじゃました。
すると、リビングは谷の親戚でごっちゃ返していた。下は0才上は80代、20人はいる。
俺「すみません、家族団欒の時におじゃましまして」 母さん「いいえ、騒がしくていいのならずっといていいのよ」
父さん「これこっち座りなさい」
俺「あっはい。あとこれお土産で」
母「まぁまぁありが、、カニだわ」
おば「えっ、カニ?」
父「なんだとカニだと」
子「僕が食べる」
祖父「ワシじゃワシのもんじゃ」
姉「なにいってんの、姉妹なんだから私が優先に決まってるでしょ」
娘「カニカニ」
わいのわいの
やいのやいの
この家族、カニが好きらしい。
父「のぶくん、飲みが足らんよ。若いんだからグッとやりなさい」
母「料理いっぱい作ったんだから、いっぱい食べなきゃだめよ」
弟「のぶ、姉ちゃんの事好きなの?」
ぶっーー
俺は吹き出しそうになった一瞬場がシーンとなり、注目が集まる。
俺「、、好きだよ」
おぉ、、歓声があがる
これは嘘ではない。
谷と一緒にいると安心するし柔らかい気持ちになる。
谷となら結婚も考えられる。ただ、やっぱり自分はゲイな訳で。
谷のお父さんとお母さんはそんな事情を知っているから、ちょっと寂しい顔をした後、また笑顔になって、父「このぉ、娘はやらんぞ」と笑わせてみせた。
親戚とかとこんな大勢で食卓を囲んだ事なんてなかったから、賑やかなのが新鮮で、温かくて、嬉しかった。
そして、11時半頃電話が鳴る。
俺「准くんから。いつものカラオケまで来てって」
谷「わかった」
母「何、あんた達これから行くって?やめなさい、もう遅いんだし、行く事ないじゃない」
谷「もう約束しちゃってるから」
母「年越しにカラオケってもうちょっと何かなかったのかね、しょうがないね」と言って、風呂敷で包まれた荷物を渡された。
母「煮物とか入ってるから夜食に食べなさい」
俺「ありがとうございます」 俺はそんな何気ない優しさにジーンときた。
俺は母がいないけど、もしいたらこんなに優しいのかな?