コウスケに支えられて、洗い場着いた。
俺はシャツを脱いで肘を洗う。
横目でコウスケを見ると、コウスケは俺の体をまじまじと見ている。
「何?もしかして俺、背中も怪我してる?」
コウスケはハッとしたように我に返った。
「あ、いや、ジュンキの体、思った以上にムキムキやから…見惚れてた(笑)」
俺は嬉しかったが、気にしてないふうに装って、泥を落とすのに専念する。
「ああ、ずっと陸上してたから。それなりには筋肉あるかな。けどよく言われるよ。顔に似合わずマッチョだな。とか(笑)しかも……うわっ!」
突然背中に何かが触るのを感じた。
俺はビックリして振り返った。
するとコウスケがニヤついていた。
「わりぃ、ジュンキ(笑)背筋ヤバイなぁって思って、触ってみた(笑)それにしても、驚きすぎだろ?(笑)」
「え?あ…ごめん」
ってなんで俺が謝ってるんだ?
俺はまたしてもコウスケのペースについていけない。
「ていうか、誰でもビックリするだろ!?急に触んなよ」
「おう!すまん!じゃあ、ちょい力入れてみて」
「え?あ、うん」
俺はなぜだか言われるがままで、背筋に力を込める。
コウスケの指がゆっくりと押したり、摘んだりするのがわかる。
「うわ!カチカチやな!筋肉のIT革命や〜!」
コウスケは興奮ぎみに訳のわからんことを言っている(笑)
俺は照れて顔が赤くなる。
「なんだよそれ!(笑)もういいだろ?男2人でこんなことやってたら、勘違いされるって。山本くん興奮しすぎ(笑)」
「そうやな。あんがと!このこと女子に言ったら興奮するで!(笑)え〜私もジュンキ君の触りたかった〜。とかな(笑)」
コウスケはふざけながらそう言って、洗い終えた俺にタオルを渡してきた。
「あ、これ、山本くんの?使っていいん?血とか付くかも」
「ええって!洗って返せよ(笑)それと、コウスケって呼べよ!じゃあ、俺片付けあるから、またな!お大事に!」
そう言うと、コウスケはまた白い歯を見せて、運動場の方へ走っていった。
俺はコウスケのタオルを無意識に嗅いでいた。
これが、コウスケの匂いなのか。と思って、なんだか照れてしまった。