俺、渉は親の仕事の都合で転校が多かった。
長くても2年しかその土地にいない。
小学校で5回した…約1年に1回は転校してたから、仲良くなってもまた………そんな繰り返し。
だから、人と距離をおくようになっていた。
でも、そんなんじゃいけないって思って、小6で引っ越してきた京都で父に話した。
『俺、私立の中学に行きたいねん、高校までエスカレーターのとことか、寮があるところとか…
父ちゃんの仕事の都合上難しいやんか、とどまるんとか。できひんかな?』
一言で突き返される思ってたら、実際父も私立に入れるつもりでいたらしく、
父『何や、お前もそない思ってんやったら、話早いわ。夏休みまでにどこ行きたいか決めとき。』
渉『あぁ、それやったら大丈夫…決めてあんねん、○×中学や!!』
父『おぉ、父ちゃんはそこの高校出身や!何でそこがエエんや?』
渉『俺、学童でバスケやってるんや、続けたいねん。チームでやんな!』
父『そこは強かったか?バスケしたいんやったら、ホンマに強いとこ行きぃや!』
渉『いや、エエねん。大体父ちゃん知らへんの?バスケ強い××中学は全国から集めんねんで。そないとこ目指してもレギュラーどころか、ついていかれへんて!
それより、バスケでどうこうってわけやないねん。大学も行きたいから、そこがエエねん!』
父『そないか?まぁー…まだ1年あるから、変わったら変えたらエエ。寮でも平気やな。オマエは家のこと、出来るからな。』
渉『それは…』
…うつむいてしまった…
父『わ、悪かった…変なん思い出させたな(汗)』
そう言って頭を撫でてくれた。
両親は3年前に離婚している。離婚するとき母ちゃんには別の男の子供がいた。
それから、母ちゃんとは会ってない。たまに電話あるけど、すぐに切る。
そんなこんなで、俺は勉強頑張った、その甲斐あって、○×中学に合格した。
ほんまやったら、入学してすぐに寮に入るつもりやったけど、父ちゃんが転勤せんかったこともあって、とりあえず自宅から通うことになった。