「はっ?なにいってんだいきなり?」とっさにため口できれかかる俺に。
「俺知ってるんですよね、このアドレスに覚えないすかね?」って、携帯見せられて。
そこには俺のアドレスと、そいつのアドレスとのメールのやりとりしてて。そういえば夏休み入ってすぐ、ここの掲示板でだいぶ前に知り合ってやりとりしてたけど、夏休みに入ったし、よかったらまだ募集してますか?ってメールが来てたのを思い出した。正直いろんな奴とメールしてたしいちいちアドレスとか控えてなかったし、彼女に見られないようにメールはすぐエッチしたら削除してたので、特に気にもとめてなかったし。そんときも機会があれば是非みたいな感じで普通に終わってたし、写メ交換したはずなんだけど、特にタイプでもなかったからシカトしてたはずだし、でも弟の顔ではなかったし。。あれこれ激しい動揺に見舞われ、ちょいパニクってしまった俺に、弟は、意地悪そうに、「ひどいすよね、姉は当然知らないですよね?どういうつもりなんですか?」って聞いてきました。
「あのサイト(ここのことです)知ってるってことはそっちだって、バイなんだろ?」って切り返すと、「自分はゲイです」ってきっぱりと、真面目な顔で言われてしまいました。
自分より年下にここまで真面目に、見事に、そして素直にカミングアウトされてしまい、自分が今までしてきたことの卑劣さが加わって、まともにそいつの顔が見れなくなってしまいました。
「俺、姉に彼氏が出来たってきいて、どんな奴かと思って写真とかみせてもらったら、すげーかっこ良くて、しかも俺の第一志望のR大って聞いて、どうしても我慢できずに、姉の携帯から勝手に佑司さんのアドレスとか写メとか俺の携帯に転送したりして。で、佑司さんがこっちだったらいいなーって、思い、だめもとでメール送ってみたら、普通にこっちのノリで返事がきたから、俺図に乗って。。。」
「あの時交換した写メは?」「友人です・・・」「最低だなお前。」「だったらそっちはどうなんですか?」「・・・・だよね。最低だよね。身内にバレて、言われて。わかってたけど。」矢継ぎはやに繰り返される会話の所々で、なんか二人とも感極まってはなんとか泣かないように我慢していました。
俺は正直ノンケの世界にこういう形でこっちの世界との接点ができるとは夢にも思わなかったし、絶対にばれないだろうと思っていました。弟は弟で、俺をどうすればいいか結構考えたこともあったみたいです。そんな中恥ずかしかったけど、我慢できずに俺が泣いてしまいました。「お前ふざけんなよ、どうしたいの?俺の事からかって、どういうつもり?彼女にばらすんなら俺だってお前がゲイだってことばらすし、本当にどういうつもり?ふざけんなよお前。」「ち、違いますよ。俺友人の写メ送ったりして俺だって罪悪感感じてましたし、でも、佑司さんも姉には絶対見せないようなエロい写メとかメールの内容とか送ってくれてたし、何よりタイプだったし、俺だって、学校とか誰にも言えずにゲイだって事悩んでましたし、佑司さん見たいな存在もあるんだと思い、でも、バイでも、ちゃんと順番に付き合ってるんならありだと思いますけど、彼女がいて男ともエッチするのって、しかもその相手が自分の姉とかって、どうなんだろうみたいな。よくわからなくなってきたんですけど、今日の旅行すげー楽しみにしていたし、親父の性格から多分俺と佑司さんが同じ部屋になるって思ってたし、いろいろ話してもらえるって思って、変に期待してました。」弟も泣き出しました。
「そっちだって辛いんだよね。」ぼそっと言った一言が拍車をかけてしまい、弟は声を上げて泣き出しました。俺はやばい、彼女が入ってきたらどうしようと思い、仕方なく、彼を抱きしめ胸に顔をうずめて嗚咽をこらえるかのように弟が泣きました。冷静に考えてみて、悪いのは全部俺です。俺が彼女いながら、掲示板で男とセックスしてたわけだし。年下にこんな形で指摘されて、切れてしまったけど、冷静に考えてみると、自分も高校の頃はいまよりも周りの視線や態度に敏感でカモフラージュするのに必死だったしって・・・・そんなこと思いながら彼が泣き止むの待ってました。「ごめんな。全部俺が悪い。」「いえ、そんなことないです。姉の携帯からアドレスとか見て盗んだの自分ですし、本当最低です。」「とりあえずもうそろそろ行かなきゃ?な?今夜話しよう?」っていうと、胸元でうなずく弟。この時点ではエロい気持ち等一切抱かず、むしろ、こんな状況なのに、あー弟が自分のタイプだったら絶好のチャンスなのにーと思ってしまいました。