…チュンチュン
目が覚める。
洸に抱き締められたまま。
「洸ー。朝だよー?」
「んっ…おっ、おはよー。」
まだ目が半分だけ開いた洸。
気付くと、洸と向き合って抱き締められていた。
「あれっ?広の首のアザなんだー?」
「アザ?」
腕をほどいて鏡の前に立つ。
…キスマーク…
ってええっ?
なんで?
なんでなんで?
っと、洸が口を開く。
「昨日つけちゃったー♪」
首についたキスマーク。
いやっ、親に見られたらアウトでしょ…
「つけ返してやるー!」
こればかりは本気でやり返した。
洸の首にもキスマーク。
つけた後になって少し後悔した。
とりあえず二人で湿布を貼って隠す。
っと、母が部屋をノックした。
「朝ごはんできてるから降りてらっしゃい!」
…カレーじゃんね?
できてるって、昨日からじゃん。
っと考えながら、洸の方をみた。
「…降りよっか。」
「うん」
朝から派手に恥ずかしいことをして、口数が減った。
リビングにつくと、予想とは違う料理があった。
シチュー
…母め…一本とられたよ。
「あらっ?あんたたち二人して湿布貼って…まさか…」
「えっ?いやっ、あの…その…」
一人でアタフタする自分。
「寝違えたの?」
コケッ
本気で漫画並みにコケた。
「あっ…あはははは…そうなんだよ!」
まぁ…感づかれなくてよかったー。
などと考えながら早速シチューを食べた。
相変わらず口数が少ない二人。
早々と食べ終えて、また部屋に戻った。
部屋につくと、洸は笑っていた。
「寝違えたの?だって!広のお母さんおもしれー!あははははー!」
「あははじゃないよ!」
自分は恥ずかしいやらなにやらでそれどころじゃない。
まったく人の気も知らないで…
「大体ねぇ、キスマークはヤった後につくもんでしょ?まったくもー。」
っと、洸が思いも寄らない言葉を口にした。
「じゃあ…今からする?」
また時間が止まる。
今度は心臓がバクバクして。
洸はまっすぐ僕の目を見ていた。