はじめまして、こんにちは。
翔と言います。
昔の体験談を、多少の加筆をしながら書かせて頂きたいと思います。
登場人物は偽名ですのであしからず。
拙い文章ですが、よろしくお願いします。
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高二の夏。
うだるような暑さの中でも、エアコンのついた室内はなかなかに涼しかった。
蝉の鳴き声も、炎天下では欝陶しいが、涼しい部屋だとなかなか寛容になれる。
連日の異常な程の暑さの中、クーラーのついた室内というのは、まさに最高である。
世間の高校生は夏休みを謳歌し、自分が補習の授業中でなければ、の話だが。
時は遡り、夏休みに入る前、担任に呼び出され「湯川くん、テストの成績悪いよね。単位足りてないから、夏休みは補習ね。」との一報。
『卒業したいならちゃんと来るように』と警告しているのは、腐りかけた俺の脳みそでも分かるさ。
そしてそんな腐りかけた脳みそがもう一人。
「先生!暑いんで、泳いできて良いっすか?」
とか真剣に質問しているバカ。
「塚田、プールに行って留年するか、プールに行かずに留年を免れる。どっちが良い?」
「プールに行きます」
とまぁ、こんなもんだ。
先生は呆れて黒板に頭をぶつける。俺でも呆れるくらいバカな奴。
水泳部の未来のキャプテン候補にして我が校一のおバカ、塚田陽介。
で、我が校のおバカ二号、俺こと湯川翔。
ツートップバカが揃い、夏休みの貴重な時間を裂いて貰いつつ先生達に教えを請うているわけだ。
昨日までは七人だったが、今日からは二人になってしまった。
昨日までは数学、今日からは英語の補習。
英語の成績がマズイのは俺と陽介だけなのだ。
「先生、『sex』ってやらしいですね。こんなHな文章、18禁っすよ」
陽介、それは『性別』という意味だからな。中学生並の発想だぞ。
「塚田…、本気か?」
「いやいやぁ、冗談ですって。なあ、翔?」
「え、そこで俺?」
「いや、翔しか居てないだろ」
まぁ、陽介と先生と俺の三人しか居ないしな。
「湯川、放っておけ」
「ラジャー」
「翔、先生には敬語くらい使えよ〜」
そんな感じで遅滞する補習授業。
朝から夕方まで英語漬けの一日目が終わった。
「うっしゃあ!!!終わりっ」
陽介が廊下で雄叫びをあげた。
吹奏楽部の女の子の『オイ、その野獣を黙らせろ』とでも言いたげな眼差しが痛い。
「まだあと二日あるぞ」
「翔君、明日の事は明日に頑張ればいいんだよ。」
『ムフフ』とか言う効果音が付きそうな陽介の表情。
なんかムカつく。
「翔、今日さ、またお前の家に泊まりに行っていい?」
「あんなボロアパートでよければいつでも」
「サンキュー。ところでこの後ひま?」
「俺は万年暇人。帰宅部万歳」
「水泳部入ろうぜ」
「巨乳の可愛い専属マネージャー付きなら」
「水着の股間部が盛り上がりますな。ちょっとさ、プールに付き合って?」
「ラジャー」
そう言って、俺達はプールへ向かった。