俺は男子校に進学した。
中学の時の友人はいない。
だが、だからこそ真面目キャラを崩して自由にしようと誓った。
入学して一週間。
明るく振る舞っていたお陰か、あっと言う間に友人が沢山できた。
だが、あまり好きになれないやつがいた。
隣の席のコウキだ。
小柄で可愛くて、声も可愛くて、仕草も可愛くて…。
とにかく可愛い。
そして頭もイイ。
だが、それがぶりっこに見えた。
周りに媚びを売っているように。
中学の時の自分と重なったから余計に苦手だったのかもしれない。
そんな俺の気持ちを知らず。
隣の席ということもあってか、コウキは俺の後ろをついてくることが多かった。
1ヶ月後。
俺はコウキの化けの皮を剥ぐことにした。
連絡先を交換し、毎晩メールをする。
たまに卑猥な質問をした。
初オナニーは?
初エッチは?
いつ毛が生えた?
チンコ何センチ?
包茎?ズルムケ?
学校では下ネタを話さないコウキだったが、メールでは答えた。
やはり学校のはキャラなのか。
1学期終盤。
水泳の授業が始まった。
更衣室は成長途中の男が30人。
かなり狭い。
だが、隠さない人もいる間近で見る絶好のチャンスでもあった。
コウキは更衣室の角。
俺の後ろで隠しながら着替えている。
隠さない俺のモノをチラチラと見ているのがバレバレだ。
俺は水着を探すフリをしながら見せつけた。
ある日。
コウキの陰口が聞こえてきた。
先生に媚びを売っている。
やはり俺と同じ考えのやつがいたのか。
その日の水泳の授業。
後ろをついてくるはずのコウキがついて来なかった。
先に行ったのだろうか。
更衣室に入り、友達と話しながら着替える。
コウキはまた角のほうにいた。
俺は逆の角だから少し距離があった。
「コウキ、何隠してんだよ」
その声に場が静寂した。
素行が悪いヨシダだ。
「男同士なのに恥ずかしいのか?」
取り巻きがコウキを羽交い締めにし、ヨシダがタオルを剥いだ。
色白の肌に薄い陰毛の黒がエロさを引き立てる。
その芸術品のような身体に視線が集中した。
「やめてよ」
羞恥心と恐怖の混じったコウキの声。
「あ?なんだよ?」
ヨシダがコウキの髪を掴んだ。
「んッ」
痛みで顔が歪んだ。
「媚び売ってばっかのぶりっこちゃんがよぉ。ほら、先生助けてって言ってみろや」
挑発するようなヨシダの発言に吐き気を催すほどの苛立ちを覚えた。