たかさん、ありがとうございます!
続きです。
「晴翔はどこ中だったの?」
「○○中。県外だから分かんないよね」
結構話すのにも慣れてきた。
「県外!?そんなとこから来るような学校じゃないでしょ」
毒舌。
いや、当然か。
どうせなら都市部の学校に行けばイイものを、わざわざ地方に来ているのだ。
この地区じゃ上のほうの学校らしいから入ったんだけど…。
「いや、いろいろ事情があってさ」
さすがにいじめられていたからとは言えない。
「じゃあ家は?引っ越してきたの?」
「いや、アパートに一人暮らし」
少し前からこっちに来ていたから慣れてきている。
最低限必要な場所もきちんと覚えたし。
「お前、一人暮らしなの?」
後ろの席から声がして振り向くと、かなり長身の人が座ろうとしていた。
「よし、お前友達決定な」
なんだこの展開。
アニメか?
漫画か?
青春学園ドラマなのか?
「あ、俺は奥田雄輔。お前は?」
「尾形晴翔…です」
つい声のトーンが低くなってしまった。
「お、よろしく。えっと、そっちは…秋晴れ?」
「セイシュウだ。飯田秋晴」
「そうなのか。まぁ、よろしくな」
飯田君も不快そうだ。
てか、不快感むき出しだ。
そうこうしていると生徒が続々と揃い始め、先生もきた。
担任は(見た目は)若い女の先生だ。
なんつーかエロい。
胸とか。
挨拶をし、今日の予定を聞いて体育館に移動。
その後も何事もなく過ぎた。
そして帰り。
飯田君は親の車で帰るらしい。
「一緒に帰ろうぜ」
一人で帰ろうと思ったら奥田君が話しかけてきた。
「え?道一緒なの?」
家の場所、話した覚えないけど。
「お前の家知らねぇし。とりあえず行こうぜ」
がさつで強引。
だけど、断ることができなかった。
「ほらよ」
途中、ハンバーガーを買ってくれた。
意外と優しい?
いや、ここに来るまで話してても普通な男子だってはわかったけど。
「あ、ありがと」
初めて友人と食べ歩き。
ハンバーガーを食べながら家までの道を歩く。
「ゴミ、捨てておくからよこせよ」
「あ、うん。ありがとね」
やっぱり優しい。
初対面の人間にこんな優しくできるなんて。
最初はただのDQNかと思ったけど全然違うらしい。
「奥田君、どこまで来るの?」
さすがに家も近所になってきたので聞いた。
「え?家まで連れてってくれるんじゃねぇの?」
予想外の回答。
「え?」
「え?」
……。
「奥田君、家、どっち?」
「向こう」
歩いてきた方向を指差す。
「…行こうか」
深く考えるのはやめた。
どうせ一人暮らしだし。
友達を家に連れてきても何も問題ない…。
…友達。
友達…か。
こんな付き合い久しぶりだ。
「なぁ、晴翔はなんでこっちにきたんだ?」
「ちょっといろいろ事情があって」
「いろいろ?」
「いろいろ」
「イジメとか?」
……。
冷静に、落ちついて。
こいつが俺の過去を知っているわけがない。
「そ、そんなわけないじゃん」
冷静に言ったつもりだったがかなり噛んだ
「ふーん。まぁ…何かったら言えよ」
気付かないふりか。
鈍感だから気付かないだけか。
これも一種の優しさなのだろう。
続きます。