気分任せに「ヤりたい」と言うと彼はかなり悩んだが
「フェラだけならいいよ」
と渋々付き合ってくれた、彼がズボンを脱いでシャツだけになる。
身体は相変わらず細く足なんて女とほとんど変わらないくらいなんじゃないかと
見つめつつ、彼の隆起したそれが露になる。
「うわ…」
と自然に溜め息まじりの興奮を呟いた、ふと手に取ってみる。結構熱い。
彼は恥ずかしそうにちらちらと目線を合わせながら「やるなら早くやれよ」
と促した。自分は興奮と快楽が混じったような不思議な高揚感を覚えてそのまま
ぶっ倒れてしまいそうだったけど舌から裏筋をちろっと舐めてみる。亀頭へと
口を進めて、じゅぽじゅぽと吸い付いた。彼は結構良いのか息を荒げつつも
自分の頭に手を置く。時折荒いだ吐息が彼から聞こえてのも気にせず自分は根元
を両手扱きながら舌が火傷しそうな程熱いそれにしゃぶりついた。
「あ…あぁっ…!」
彼の甘い声が響く。自分たちがこんな事しているのを学校の奴らが見たらなんて
思うだろうかなんて考えながら、自分は雄の匂いがしみついた裏筋を攻めてみた。
「んぅ……結構…うまいじゃん…」
彼が両手で俺の頭を抑えながらも感じているのか時折身体が反り返った。
シャツに見え隠れするように彼の腹筋が見える、本当に綺麗な身体。頬に赤を
添えた彼の顔は一段と可愛い、愛いしくて仕方がなかった。
俺はもっと可愛い顔が見たくて前後運動をつけてさらにしゃぶりつく。
「も…ぅ…ちょっ…タンマ…!!」
彼の腕が俺の口を引き離そうとするのを否むように、自分は彼の腰に抱きつき
喉の奥まで彼で突き通した。ちょっと苦しい、むせそうだったけどもう自分には
何でもよかった。早く彼のザーメンでドロドロに汚してほしかった。相変わらず
彼の腕は止まらない。もう絶頂が近いのだろう、自分は追いこむように肉棒を
吸い上げる。
「あっ、で…る…」
なるべく感情を押し殺すように言いながらも彼の下半身は何とも分かりやすく
一気に口内を精液で溜めつくした。
彼が喪失感に襲われ、ぐったりとしているのを余所に自分は彼のシャツを
脱がしかけて射されたザーメンを腹筋に流す。彼の腹筋がたちまち白く淫らに
塗りたくられる。
「げ…変態…っ」
そう言いながら彼はじっ見つめる、自分は腹筋についた白濁をどろどろと
飲み込んでいった。
全部が終わってから、彼はシャワーに入って着替えた。自分も入るように
薦められたが、顔を洗うだけにした。また二人でベッドに座る。あんな事が
あったせいか、まだ部屋に精液の香りが漂ってせいかどちらも顔を合わせるのも
恥ずかしそうに目を泳がせていた。気がつけばもう時刻は8時半。
彼は一人暮らしだったから良かったが、自分は実家暮らしだったのでそろそろ
帰らなければならなかった。こんなに楽しかった時間もあっという間だった。
もう帰らなければ、そう思うと自然と涙が出てくる。
「…泣くなよ。別にこれから会えないっつーわけじゃないし。これからはさ、
友達として付き合ってこうぜ」
そう言いながら彼が慰めるように片腕で抱きしめて撫でてくれる。自分は
もう少しだけ、と彼の胸に顔をうずめた。
帰りの道も彼と一緒に手を繋いで歩く。春なのにその日は寒くて彼がマフラーを
貸してくれた。ぎゅっと握ってくれた手もマフラーも暖かくて暗い気分は
すっと引いた。暗い夜道の中で彼が話してくれた。
「俺さ…ゲイの奴とかと絶対仲良くなれないと思ってたけど…ちょっと
考え変わったわ。」
それだけだったけれど、自分にとって何よりも嬉しかった。こんな風に人に
優しくしてもらった事なんてあんまり無かったと思う。
だから彼には感謝しかなかった。
「ありがとう…ほんとにありがとうね…」
自分はそんな事しか言えなかったけど、それでも彼はずっと笑顔を絶やさないでいた。
駅について本当に別れなければならないという時にも彼は明るく接してくれた。
周囲の人がざわついているのも気にしないで最後にぎゅっと抱き合って。
さよなら、そう言うと彼はまた
「じゃあなっ!」
と笑顔で見送ってくれた。自分が見た中で一番かっこよくて素敵な笑顔だった。
今でもあの一日は夢だったのかと思う。あれからストーカーはやめようと
彼に直接連絡しようとしたが繋がらずツイッターのアカウントもいつの間にか
なくなっていた。1ヶ月ほど経ってから彼の家に行ってみたが、もう引越して
誰もいない空き家になっていた。そのまま彼とは会えずじまい。
2年後の同窓会にも、5年後の同窓会にも彼は姿を見せなかった。
意を決して彼の友人に話を聞いてみると、彼は今入院中で遠くの病院へと
行ってしまったそうだ。ずっと前から付き合っていた彼女が献身的に
介護しているのだという。自分は、会いに行く気にはなれなかった。
今でも、彼の姿が頭の中をぐるぐると回る。ずっとずっと、自分はあの
一日を追いかけている。今頃彼は何をしてるのだろうか。
もう結婚してきっと子供でもできているのだろう。でもそれで良いのだと
自分は思うように心がけている。あれは夢か何かだっただと。
時折、思いついたように卒業アルバムを開く。
そこに写った彼の笑顔は駅で見た時と同じように眩しかった。
終わりです、有難うございました。エロあんまりなくて本当ごめんなさい。