俺は周治に手を引かれ、そのまま体育館裏まで連れて来られた。
うちの学校の体育館は林に面していて裏は全くと言っていいほど人は来ない。その分殺風景で汚れてはいるが。
周治「…とりあえず服着ろ。」
周治は少し素っ気なく言って、誰も来ないようにか少し離れて周りを見ていた。
幸い服は全部無事だった。破れたわけではないのでボタンさえとめ直せば元のままだ。
その時の俺の気持ちは何と言っていいのかわからなかった。
良い友人だと思っていた武部に半ば強制的に犯され、それを片想いの相手である周治に見られ、周治は俺を助けてくれた(のだろうか?)。
震えが止まらなかった。服を着終えると俺はその場にうずくまった。
周治「悟!大丈夫か!?」
周治が駆け寄って来てしやがみ、俺の顔を覗き込む。
震えているのを見て、また自分の学ランをかけてくれた。
嬉しかった。それが周治の気遣いに対する正直な感情だった。
しかしそれが友達としてのものであるのだろうと思うと、急に涙が出てきた。
ましてやあんなものを見られた後で、なおも優しくされるとなると、その優しさが痛かった。
周治は俺が泣いて少し驚いたようだったが、ただ黙って俺の背中をさすってくれていた。