翌朝、目が覚めると自分の隣で彼も寝ていた。
(……やっぱり、カッコイイな)
はじめてみたときからずっと思っていたこと。
改めて間近で見てもやっぱり、カッコイイ。
そう思いながらも、後悔の念が押し寄せてくる。
目覚めたら、たぶんもう、会うことはないだろう。
経験上、今までがそうだったから。
自然と涙が出てきた。嬉しいような、悲しいような。
「……春、さん?」
一人で感傷に浸ってると、彼は寝ぼけた感じで声をかけてきた。
「泣いてる……?」
「い、いや、これは」
すると、がばっと起き上がって、
「ご、ごめんなさい!俺、あんなことして、傷つけて!」
勢いよく深々と頭をさげて謝ってきた。
自分は何事かと呆然とその姿を眺めていると、
彼は泣きだしそうな顔で
「気持ち、抑えられなくって……。
キスくらいならいいかなって、でも、気持ちよくて……」
「え、あ、あぁ。いや、別に嫌で泣いてたわけじゃないから!
むしろ、こっちこそ、調子に乗ってしまって」
申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「いや!」
がしっと両腕を捕まれ、抱き寄せられる。
「……めっちゃ、気持ちよかったです」
なんだか、調子が狂う。
「あの、もし良かったら、俺と、付き合ってくれませんか……。
ってか、責任取らせてください!」
そういって、また見つめてきた。
真剣で、かっこよくて、どこか馬鹿らしくて。
「……考えさせて、頂きます」
ぷっ、と笑いを堪えながらそういって布団にもぐると、
彼はエー!と言いながら、じゃれついてくる。
「こら、やめろ!へんたいっ!」
「春さんだって!」
こうして、自分と平田君は付き合うこととなりました。
もちろんこの先、穏やかなことばかりではないけれど、
それでも、なんとなく、腐ることなく頑張れば、
こんなこともあるのかなぁと、ぼんやりと考えてしまいます。
おしまい。
――。
とりあえずこの話はこれで終わりにします。
途中嬉しいコメントたくさん頂き、ありがとうございました!