続きです。
千明はちゃんとハーパンとTシャツを着ていた。
「サイズ、大丈夫か?」
「はい。大丈夫です」
そう言いながら服を捲って匂いを嗅いだ。
「どうした?」
「いや、なんか…他の人の匂いだなぁ…って」
笑う千明。
変態か?
匂いフェチか?
「千明は布団な。俺は座布団さえあれば十分だから」
「お兄ちゃんと一緒がいいです」
さっきから違和感なくお兄ちゃんって呼んできやがる。
可愛い。
「狭いぞ?暑いぞ?」
「脱ぐから大丈夫です」
俺が大丈夫じゃない!
「全く…」
俺は冷蔵庫から酎ハイと炭酸飲料を取り出した。
「お酒飲むんですか?」
「一缶だけな。お前はコーラ」
「あ、ありがとうございます」
同時に開け、ゴクッと飲んだ。
「風呂上がりの一杯は上手いな」
「なんか男らしいです」
男らしい…。
あまり言われたことがない言葉だ。
基本的に受けで、男らしい立ち振る舞いは相手がしていたから。
「あ、明日は学校あるのか?」
休日だけど、部活をやっていたら登校だろう。
「ないですよ。部活やってないんで」
寂しそうに笑う千明。
「じゃあ夜更かししても大丈夫だな」
「夜更かしして何します?」
「ゲームでもするか?」
「あ、やりたいです!」
俺は二人で遊べそうなゲームを準備した。
スポーツ系やアクション。
パズルやボードゲーム。
最近手をつけていない物も出した。
「どれがいい?」
「じゃあ…ぷよぷよで」
「りょーかい」
ゲームを起動する。
操作などは知っていたので説明せずに済んだ。
すぐにゲームを始める。
久しぶりの対人に熱中し、酎ハイが進んだ。
だいたい互角な勝負をしていた時だった。
「お兄ちゃん、罰ゲームつきでやりましょ」
赤い顔をした千明が言った。
まさか飲んだ?
いや、コーラとお茶しか渡していない。
じゃあ、まさか…匂いとかで?
「おうよ。受けてたってやんよ。てか、匂いで酔うとかどんだけだよ」
俺は千明の挑戦を受けた。
「酔ってないですよ。お兄ちゃんこそ酔ってるじゃないですか」
「俺は酔ってるよ」
千明に抱き付き押し倒す。
「酔っ払い相手に罰ゲームってことは覚悟できてんだろ?」
「もちろん」
「じゃあ始めようか」
ゲームを再開する。
お互いに譲らない勝負が続いたが「あ…」という呟きと共に、千明が一気に負けた。
続きます。