「埒があかんな。」
そう言い放つとタオルとガムテープで目隠しをすると車からバスケットボールを取り出してきてヤンキーの横腹に当てた。
「んぐぅ…」
ヤンキーの声が漏れる。
「お前が犯した罪、それがわかればこれは辞めてやるよ。」
パァーンパァーンというバスケットボール特有の音をさせながら忠彦が告げる。
「すいません、ありがとうございます。
えっと…先週の集会の時の乱闘の事でしょうか?」
「違うわぃボケ!」
忠彦は無慈悲にボールを側腹部に何度もぶち当たる。
「ぐはっ…」と唾液が何度も飛び散る。
それからは間違う度に腹や背中にも何度も何度もぶつけられ、赤黒い腹巻きをしている様になってきた。
「すいません、えっと…えっと…」
自分の悪行を語ること数十分。
「先月、攫ってきた女の子をメンバーの前で犯した事ですか?」
僕は内心『お?これじゃないか?』と思っていたのだが、忠彦は別の点に噛みついた。
「犯されたとは聞いていたが、他の奴に見られていたとかは聞いてないぞ。」
ブチ切れた口調の忠彦にヤンキーは「すいません、すいませんでしたー。」と叫ぶが、怒りは早々には消えない模様だ。
「その子、誰だか覚えてるのか?」
僕が近づいてそう尋ねた。
「いや、拉致っただけだし、やってる最中も顔を見られないように目隠しをしていたので殆ど顔はわかりませんでした。」
素の顔で顔をこちらに向けてこたえる。
「じゃあ今の君と同じだね。目隠しされててさ…。
それで?その子を犯したんだ。」
「そっ…その場の雰囲気というか…はい。」
急に小声で答え始める。
「聞こえねぇんだよ」
忠彦が丸まった腹部を思いっきり蹴り上げると「ごぶぅ…」と嗚咽をした後で漏れ出る声で「す、すいませんでした…」と言った。
忠彦は柱や壁を殴る蹴るなどして憂さを発散していたのだが、不意に僕らに近づいてきて「こいつ、同じ目に合わせたいからみんなで犯してくれない?」と言ってきた。