追ってきた一人に捕まった修は、目立ちたくないという意識もあり
声を出すこともなく、地下室に連れ込まれていった。
部屋の中は酒の空き缶が転がり、古そうなテレビで無修正のAVが流れている。
部屋の隅には女でも連れ込むのか、布団が敷いてありヤバそうなグッズとティッシュボックスが置かれていた。
蒸している部屋は不快に暑く、男一人は上半身裸、もう一人もシャツのボタンは開け放していた。
修が部屋に入ると口々に勝手なことを言う。
「こいつ誰?」「知らんけど、俺らのことチクろうとしてたんやで」
「は?舐めてんな」「俺こいつ知ってる。隣のクラスのクソまじめな奴」
「まあ、えーわ、とりあえず飲もうぜ」「こんなヤローじゃなくて女でも連れてこいよな」
修が小声でチクらない、帰してほしいと言っていることなどお構いなしであった。
酒も飲まず煙草も拒否する修は、4人からすると特に面白みがなく、かといって
チクられるとめんどいということで、部屋の真ん中にある太さ40cmぐらいの柱に
縛って放置されることとなった。
さすがに修も抵抗したが、腹を一発殴られ、ケンカの経験すらほとんどなかったため
はじめて感じる恐怖に頭が回らず、ただ直立不動になってしまい
腕ごとガムテープで柱に巻かれていくのをぼんやりと待っていた。