遅くなってすみません。
続きです。
「うわ!吉田が兄貴面してる!」
「うっせぇよ。てか、兄貴だし」
省吾君の友達らしい男子が省吾君を茶化した。
「弟、何歳?」
「12歳。小6だよ」
「もうちょっと下かと思った」
「ちっちゃいからな」
省吾君が頭をぽんぽんと叩く。
「吉田弟、名前なんてぇの?」
省吾君の友達がしゃがんで目線を合わせながら話しかけてきた。
「優斗、です」
「そかそか。俺は高橋幸太。兄ちゃんのクラスメート。よろしく」
「よろしくです」
省吾君から離れ、一応頭を下げた。
「当番5時までだから。本読んで待ってるか?」
省吾君が椅子に座りながら言う。
「うん」
「好きな本取ってこい」
「はーい」
僕は読みやすそうな本を取って省吾君の隣に座った。
「省吾君、宿題は?」
「やったよ」
「省吾君って…ッ」
幸太さんが笑いを堪えていた。
「あ?なんだよ?」
省吾君が怪訝そうな顔をする。
「いや、なんか似合わねーなぁって。優斗君、俺、省吾とは小学校から一緒だったけど、こんな奴じゃなかったんだよ」
ヘラヘラ笑いながら話し出した。
「まじで問題児って感じだったから。遠足の時とか、いつも勝手にどっか行っちまうし…」
他にも話を聞いたが、今の省吾君とは全然違う感じだった。
「それが急に『俺、兄貴になったから』つってなぁ」
また笑う幸太さん。
「うっせぇよ」
省吾君が幸太さんを小突く。
仲がいいなぁ…と、少し羨ましくなった。
5時になり、図書室を閉め、僕らは3人で帰った。
なんとなく、幸太さんに省吾君を盗られた気がして省吾君の手を掴んだら、省吾君も握り返してくれた。
家に着き、とりあえずご飯の準備。
料理は手伝っていたため、簡単なことならできた。
お米を研いで、省吾君と一緒にカレーを作った。
省吾君も料理ができたから、お父さんと作るより楽だった。
いつもどおりの時間にご飯を食べ、一緒にゲームをした。
9時頃にお母さんから電話があり「早くお風呂に入って寝なさい」と言われた。
「省吾君、一緒に入ろ?」
いつもお父さんと一緒に入っていた僕は省吾君と一緒に入ろうと思った。
「え?あぁ…うん」
それを知っているからか、省吾君は渋々といった様子で頷いた。