中1の終わり頃、陽貴(はるき)がバスケ部に転部すると言うのだ。そして両親から僕と彼2人で遊ぶことを禁止された。何が起こったのかよく分からなかったが、どうやら僕らが舐め合っているところを陽貴の親に見られたらしい。陽貴の親は僕らを引き離そうとして必死になった。
それでも僕ら学校で話はできるし、学校帰りにスーパーや公園のトイレで、今までと同じ行為をしていた。しかし、時が経つにつれて親の策略は成功した。部活が変わったことでお互いそれぞれ新たな友人関係が生まれ、陽貴との接点も少しづつ減っていった。学校では、会えば親しく話すものの、以前のようにいつも一緒にいることはなくなった。もちろん、秘密のアソビをすることもなくなってしまった。
僕は彼のことが好きだった。そんな彼が自分から離れていくような気がして、寂しくてたまらなかった。僕の中ではお互いの関係に隙間ができたように感じた。
陽貴は校内でも相変わらず人気があった。僕は彼が特定の女の子と親しくしているのを見て嫉妬した。僕も対抗心からもっと可愛い女子と付き合ったりして、アピールしていた。
中2の2学期、三年生が部活を引退した後、僕はサッカー部のキャプテンとなった。それからは僕自身、さらにサッカーに打ち込むようになり、陽貴のこともそれほど気にしなくなっていた。彼はというと、持ち前の運動神経で1年後には、何とバスケ部のキャプテンになっていた。そしてその頃陽貴には彼女ができた。
中3になり、夏休みにボランティア活動に参加するというプログラムがあった。僕は陽貴を誘い、毎週1回、計5回の老人ホームのボランティアに申込んだ。ほぼ2年ぶりに陽貴と密に接する時間となった。初日は久しぶり過ぎて、何だかぎこちなかった。でも次の日からは元のふざけた関係に戻っていた。
その日、作業中に陽貴がなぜかやけに甘えてくる。僕は戸惑いながらも、嬉しかった。帰りのバスに乗ってる時も手を繋いできたり。ただふざけてるだけだとは思ったけど、14歳の僕にとっては幸せだった。僕は陽貴のことが好きなんだと改めて実感した。