熟睡していたが、朝日が差し込むと同時に目が覚めました。
微かに聞こえるはずの小鳥のさえずりの代わりに、激しい物音が聞こえ出来ました。
メインフロアにいくと足枷に繋がれた淳は俺が扉から入ってきた事に動揺していました。
俺「おはよう、淳」
淳「これはどういうことだよ」
俺「普通に挨拶もできないんだね。淳はそういうのは得意だと思っていたのに」
淳「これはなんなんだと聞いているんだよ」
俺「これ?それのことかな?足枷と鎖だよ。余り動くと擦れて痛いと思うよ?」
そう話しながら、冷蔵庫から缶ビールを出してひと口飲んだ。
淳「そうじゃない、この状況を説明しろって言っているんだよ」
俺「なんだ、淳もビール飲みたいの?ならそうお願いすればいいのに。でも飲ませないけどね。」
淳「どういうことだよ、それに俺が聞きたいのはビールのことじゃない、なんでおれがこうなっているのかを聞いているんだ」
俺「さっきからうるさくわめいているけど、この状況がわからないほど子供じゃないでしょ?考えれば?俺、風呂に入って来るから」
淳はわめいていたが、俺は無視をしてログハウスの傍にある露天風呂でビールを飲みながら自然を満喫していました。
暫くして戻ると、淳は暴れ疲れて静かになっていました。
足枷が皮膚を裂いて少し血がでていました。
淳「俺は…拉致られたってことか?」
俺「ことか?まだ立場を正確に把握出来ていないみたいだね」
暫く無言のまま、時間だけが過ぎて行く。
俺はトーストにイチゴジャムをつけて食べていた。
淳「俺は拉致されたということですか?」
淳は卑屈な表情で少し丁寧に聞いてきた。
俺「簡単に言うとそういうことだね。ほら、淳なら自分で考えてわかると思ったんだよね」
淳「俺をどうする気だ…つもりなんですか?」
俺「そうだね、まずは小学校の時にされた解剖からかな。あの時、淳が俺を解剖するように言ったのを俺は覚えているよ?」
淳「あの時はそうしないと俺がされそうだったから…」
俺「知ってるよ、でもあれから俺はイジメの対象になったんだ。それも知ってるよね?」
そういうと、淳は膝から倒れ、四つん這いになった。
暫く無言だったため、ビールを飲みながら淳を観察、ブツブツと何か呪文を唱えているようだった。
新たなビールを開け、マンゴーを切って食べようとすると、淳が話しかけてきた。
続く。