しゅんのことは思いつつも、店がやや忙しかったりして俺の気持ちは上手い事
バランスを取って紛れていた。そんな普段の日常に充実を感じていた。
「へい〜らっしゃい」
俺は厨房から振り向くとしゅんが立っていたが、今日は珍しく背の高いイケメンを連れていた。
「今日は二人なんですけど〜」
俺はテーブルを指さして好きなとこどうぞと伝えたが、二人でカウンターに座った。
そう、いつものしゅんの定位置に二人で。
他の客の注文が残っていて火使っている途中だったのもあり、飲み物だけ聞いてちょっと待ってねと伝え忙しそうに振舞っていた。
その後ドリンクも提供し一息ついていると…
「マスター注文いいっすか?から揚げと〜」
といつもより多く注文してきて、二人の距離が近いような気もして俺はモヤモヤしてしまった。
ただその日はあいにく、お客さんが入ってくる入ってくるで、しゅんの相手も大してできず店と客の関係でしかなく時間が経過してしゅん達も帰っていった。
俺が店じまいして入口の電気を消して店の前を掃除して帰ろうとしたときに
スマホにしゅんからの通知がきた。
「まだ店?」
「今日ありがとね、ぼちぼち帰ろうとしてます」
「ちょっと一人で行くから待っててすぐいく!」
何か忘れ物でもしたのか、辺りを確認して待つこと5分くらいで
息切らしながらしゅんが店にやってきた。
「あ、はあはあ、すみません」
「どうした?忘れ物でもしたか?」
「いや、はあはあ、、、」
「まあとりあえず水ね」
そう言って厨房の電気を付けてしゅんを椅子に座らせ、俺も隣に座った。
「友達は大丈夫なんか?さっき連れてただろ?」
「はい、大丈夫です。」
「ほんで、なんで俺んとこに?」
「うん、この前家に来るかって言ってたんで…」
しゅんが緊張しているかのように声を少し振るわせてそう言った事に俺はドキッとした。
「あーいやあそんな今すぐとか誘うって訳で言ったんじゃないしね〜笑」
「え、僕が行くって言ったら迷惑ですか?」
「まあ、そういう意味じゃないんだけど…」
と俺も俺で何を言ってるのか分からなくなってしまった。
嬉しい反面、仕事後で今日は疲れてるしと思って今日はやんわり断ろうとしていた。
でもしゅんは普段からそういう仕事もしているプロで、さらに可愛い顔で俺を見てきて、もう俺は負けていた。
「じゃあちょっとだけ俺んちで飲むか!」
そう、そう言うしかもう答えが無かった。
しゅんは俺に密着してきて、少しにやけた
思い通りになって嬉しそうな若い子の顔を見て俺も嬉しかった。
帰りに缶チューハイを2本ずつ、おつまみなんかもしゅんが買ってくれて帰路についた。
「うわーマスター凄い良い所住んでるんだね〜」
まあこう見えて一応事業主だし、新築のマンションに住んでいて、まあそういう反応するよな〜と恥ずかしく思いつつエレベーターに乗る。
生暖かい空気のエレベーターの中で無言の空間が広がり、緊張を感じる。
「ちょっと汚いけどいい?」
「うん!」
しゅんがついに俺の部屋に入ってきた。
続く