大分県にある少し有名な神社までやってきた。今回依頼を受けたのは、ある山の山頂にある社の大規模な修繕だ。
地元の大工店である程度作られたものを、山頂近くの社に持って上がって、建築、遷宮、解体と…数日掛かる内容だ。
あちらの宮司さんは人足を心配されていたのだが、隼と翔の事を話すと、是非ともとお願いをされ、アルバイトとして給金をいただけることとなった。
早朝より、まずは山道を少し軽めなものと工具などを持って登った。
山道はある程度整備されているため、隼は足取り軽く登っていく。
初めての山登りとなる翔を心配していたが、やはり体力はなく翔の荷物は俺が持った上で、翔のペースに合わせて登って行った。
2時間かけて社まで到着すると、資材を置き、少し休憩を取った。
だがまたすぐに車まで戻り、2回目の登頂を行う。
2回目は木材を主とした社本体だ。
隼は想像していた2倍の量の木材を持ってくれていた。
しかし、翔は…またもや途中からは俺が荷を持ち、手で膝を押しながら、息絶え絶えで何とか登頂した。
太陽が高い位置にある。
風は冷たいが身体はポカポカと暖かい。
大きな岩の上で大の字になると、隼と翔もゴロンと横になって休んだ。
隼は宮司さんから雇われた事を嬉しそうに話していた。
それは俺がやっていることと一緒じゃないのかと聞くと、「家族以外から貰うのとは意味が違う」と言った。
私は隼が「家族」と号した事に何とも言えない感情を抱き、その言葉に無言で感動し目頭を熱くしていた。
その時…翔は鼾声を発していた…。