新潟の合宿1.
これは、僕が高校生の頃の話。16歳の僕がゲイを知るきっかけになった話。
僕の名前はミサオ。都内でも難関と呼ばれる割と有名な進学校に合格するまでは受験勉強漬けの毎日だったので、入学してからは反動もあって、バドミントンの部活に思いきり打ち込んでいた。
自分は身長は高い方ではないけれど、当時は170センチくらい。中肉中背のスリムな体系で身軽だったので、バドミントンみたいな俊敏に動くスポーツは得意だった。それに色白だったので、日焼けしない体育館競技もちょうどよかった。
入部して4か月がたった7月ころ、夏合宿がやってきて、1週間まるまる新潟の山の中の合宿所での泊まり込みが始まった。よくある、冬はスキー場とかになる、あの体育館つきの施設だ。朝から晩まで、筋トレ、ロングラン、トレーニングの繰り替えしで、僕らは毎日汗だく。夜9時の消灯になることはクタクタで、すぐにぐっすり寝る毎日だった。
新潟とはいえ夏だし6人部屋なので、ちょっと寝苦しかったので、僕らはタンクトップとパンツ一丁で布団もろくに被らずにゴロ寝だった。初めての事件は、そんな夜に起きた。
三日目の夜、消灯から2時間くらいたったころだと思う。
何かの音で自分はふと目が覚めてしまった。横の布団ではペアを組んでいるタケルがスヤスヤと寝息をたてて寝ているし、他の同期のやつらもグーグーいびきかいてぐっすり寝ている音が聞こえていた。目が覚めてとはいえ、頭はぼーっとしていたし、すぐにまた寝ようとしていた。
部屋のドアがかすかに小さなキィという音をたてて開く気配がしたんだ。宿はうちの高校で貸し切りだし、もちろん鍵なんてかけていない。廊下の明かりが少し入ってくる気配がした。同期のだれかがトイレでもいって帰ってきたのかな・・それ以上気にもせずに、自分は寝返りを打ち、横寝の体制で、眠りに戻ろうとした。