しんじさんの家からの帰り道。
僕はケイタくんにアイスを買った。ケイタくんの大好きな抹茶味。再会して初めて食べたハーゲンダッツだ。
家に帰るとケイタくんが出迎えてくれた。
「おかえりなさい!!」
『遅くなってごめん…』
「大丈夫ですよ、僕もバイトちょっと遅くなったから…だから、今日は手抜きの塩ラーメンカルボナーラアレンジにしました!!」
可愛い。とても可愛い。僕はこの笑顔を守ってあげたい。この子が泣いたり悲しんだりする姿を見るのが一番嫌だ。
初めて会ったサポの時から、彼が困っている顔、悲しい顔、辛い顔をするのを見るのが心がギュッとされるようで僕は一番嫌だった。
この子を幸せにしてあげたい。僕はいつからか、そんな風に思うようになった。
一度は自分から手放してしまった。それは、自分がこの子の純粋さを自分のエゴで壊してしまったからだと自責にかられてだった。
僕はその場でケイタくんを抱きしめてしまった。
ケイタくんも普段の僕と何か違う事を悟ったのか…大丈夫ですか?と抱き返してくれた。
初めて会った日から、どれだけの回数、ケイタくんと一緒にこのテーブルでご飯を食べただろう。やっぱり誰かと一緒に食べるご飯は美味しい。
僕ももういい歳だ。これから、新しい恋愛をするなんてできない。だから、後悔だけはしたくない。
ご飯を食べたあと、冷凍庫からハーゲンダッツを取り出した。
『どっちがいい?』
僕は抹茶とバニラをケイタくんに出した。
「じゃあ、こっち!!」
ケイタくんは抹茶を取った。
『俺も抹茶がいいな』
「えー、じゃあジャンケンで決めましょう!!」
僕は少し笑った。
『うそ、抹茶はケイタくん食べな』
「もー、ジンさん僕の好きなの分かってるくせにー!」
ケイタくん。僕もアイスは抹茶味が好きなんだよ。