担当の刑事さんから一通りの説明を受けた。
ほぼ先生がやりとりしてくれたから、僕は何個かの質問に意思表示をするだけだった。
ただ、そんな事より僕はとにかくケイタくんに会いたかった。彼の姿を見て安心したかった。どうか元気そうな姿でいて欲しかった。
手続きも終わり、しばらくお待ちくださいと言われて、僕と先生は警察署の廊下で待っていた。
「すんなり終わって良かったですね」
先生が声をかけてくれるが、生返事で返す事しかできなかった。
お待たせしました。と刑事さんがやってきた。そして、その後ろにいたのは確かにケイタくんだった。
ケイタくんは最後に会ったクリスマスの日より少し痩せて…いや、やつれていた。髪の毛もボサボサで不健康な感じが漂っていた。
ケイタくんは僕に「すみません」と言いつつ頭を下げた。
タクシーの外は熱い陽射しが降り注ぎ、灼熱地獄だという事がよくわかった。
『今日は…すごく暑そうだね、こんな日に外歩くと一瞬で汗だくだね』僕は横に座っているケイタくんに話しかけた。
「そうですね…」
ケイタくんは少し涙ぐんでいた。
「ジンさん…僕は本当に…」
『やめよう、帰ってアイスでも食べながら話を聞くから…今はやめよう』
僕はやんわりと制止した。タクシーの運転手とバックミラー越しに目が合う。運転手が「エアコンもうちょっと強くしますか?」と聞いてきた。僕はそうですねと答えた。