最初に俺の背景を書いときます。
俺は地方出身で、いづれ家業を継ぐために帰らなければならない。
入学のために一人暮らしが始まる。
経験したことのない生活が待ってる。ワクワクした。
母からはこんな広い部屋必要なの?と、言われてしまったが、
駅近だし、通学にも便利だし、セキュリティーがしっかりしてる
挙句はコンビニが近いなどワガママを言い、最終的には父が折れてくれた。
そんな父から二十歳の成人式を迎えた時、言われた言葉がある。
10年間(卒業してから)は、
1.自己責任の下、いろんな事に挑戦し経験を積むこと。
2.何に興味を持っているのか、それについての創造力を高めること。
10年を長いと思うか?短いと思うか?お前の考え方次第だ。
後を継ぐということは相当な覚悟が必要だ。
他にやりたいことが見つかれば、その道を進むのも与えられた人生だ。
その時には卒業してからの10年間という歳月、
二十歳の俺は、30歳になった時の自分の立ち位置が明確に描けなかった。
それから特にやりたいことも見つからず、
取引先の会社へESを提出した時点で俺の進路は決まった。
俺が今回の体験談の相手【アイツ】と出会ったのは、
新入社員の顔合わせの親睦会だった。
当日、指定されたホテルに集合した同期の一人だった。
入社式もまだ、
それに皆な私服で参加していたので社会人の意識はまだ希薄だった。
でも皆な競争相手だと思うと、緊張感も走った。
最初に担当者の方から、これからのスケジュールの説明があった。
今日は自己紹介をした後、昼食会があり
その後バスで移動し、今回の目的地である宿泊地へ行く予定だ。
何人か自己紹介が終わった後、
アイツの自己紹介が始まった。
斎藤○○です。
その瞬間、言葉では言い表せないくらいの衝撃が体中走り回った。
それが【アイツこと斎藤くん】に対しての第一印象だった。
ん?
えっ、?
こんな奴いたの?
俺は斎藤くんが挨拶している間中、じっと凝視し続けていた。
爽やかな印象をうけたが、どこか軟派な感じも漂わせていた。
【ドキドキする。】俺の頭ん中は斎藤くんのことで一杯だ。
なんとか距離を縮め身近に感じたい。という思いが自然に沸き立った。
早速、持っていた資料で斎藤○○くんの名前を探した。
あった、あった。
『斎藤○○・趣味=筋トレ、バイク』と記されていた。
バス移動は一緒だったが、宿泊先の部屋は別々に割り振られていた。
(担当者さん、お願いだから同部屋にしてほしいよ。(←心の嘆き)
でも俺は、バイクという文字の方が気になった。
誰かとツルんで、ドリフト走行なんかしてるかもしれない。
ナンパしまくってるかもしれない。
どっちなんだ? でもどこか魅かれてしまう。
全員の自己紹介が終わるとレストランへ移動した。
斎藤くんと近づく事ができる絶好のチャンスだ。
ビュッフェスタイルなので、会話は気軽にできるはず。
例え別の部署になっても、うまくいけばこれから気兼ねなく連絡を取れるはずだ。
話しかけても会話が進まなければ、挨拶だけで終わってしまうかもしれない。
だったら絶対に会話ができる方法を考えなければ、。
何にしようか?迷ってるふりしながら、ぶつかれば自然にみえると思った。
斎藤くんは中華コーナーで料理を選んでいる。
俺は肉の方が良かったが仕方ない、合わせなければ。
ドキドキ、、、
慎重に間合いをとりながら近づいた。・・(>(-)-☆<)・・。
「あっ、ゴメン、大丈夫?」
『平気、そっちは?』
「うん平気。あっ俺、岡田です、よろしく。」
すると『知ってるよ。』そう言いながらニヤッと笑った。
えぇっ?なんで俺のこと知ってんだよ?
予想もしない返事に、次なにを話していいのか混乱してしまった。
嘘でしょ?
どっかで出会ったことあったっけ?
セックスしたことあった?
俺は混乱しながらも、斎藤くんの顔をジっと見た。
単に俺が忘れてしまっただけなのか?
イヤイヤ、こんなに超タイプなら絶対に覚えてるはずだ。
でも、、、覚えてない。
もしかして、俺がゲイだという事を知ってるんだろうか?
ヤッベー・・