『風呂と就寝は各自に任せる』として、顧問は街に消えていった。
他の連中は早々に風呂に行った様だが、僕は先輩達とは少し時間をずらそうと1時間強ほど勉強して過ごした。
(部活動が盛んな高校ではあるが、進学コースの一応主席レベルの成績を維持できていた。因みに担任から次期生徒会長の立候補を打診されたが丁重に断ると、顧問を巻き込んで副会長案を出され、何となく断れない雰囲気を感じ始めている。)
外が騒がしくなったのを隼が見に行くと、風呂を終えた部員達が岡山の高校生達と風呂場であった様で、筋肉がハンパないと喚いていたようだ。
隼は僕に付き合って風呂を後回しにして勉強…と言いながら単に宿題を「わからない、教えて…」と言いながら僕の邪魔をしていたに過ぎない。
(高校1年生の前期なんて、殆どが中学校の振り返りだから難しくないのに…)
と思いながらも丁寧に説明してあげた。
翔「そろそろ風呂に行くか。」
というと待ってましたと言わんばかりに椅子から跳ね上がると、タオルと着替えを持って催促し始めた。
小中学校の頃、家が近いからついでだと云っては隼の親が僕の送り迎えをしてくれていた。
道場終わりに銭湯に行ったり、家で食事とお風呂を頂いたことも何度もある。そんな幼少期だったため、隼とは何度も風呂に入ったことがある。
高校に入ってからは自転車の移動でその機会はほとんど皆無となり、隼との風呂も1年半振りだろうか。
脱衣所では僕も隼も躊躇いなく服を脱いだが、横にいる恐らく岡山の高校生の1人だが前を隠して入っていた。
しかし確かに他の部員が話していた通り、筋骨隆々とは将にこの事と言わんばかりだった。
洗い場でも一緒になったが、こちらはワイワイと話しているのに反して、向こうでは端にチョコンと座ってそそくさと洗っていた。
目立たぬ様に振る舞うその仕草が、僕ら2人には違和感を覚え、チラチラと見てしまっていた。
堂々と湯に浸かる僕らとは裏腹にギリギリまで前を隠して入るその姿はむしろ滑稽にさえ感じた。
わざと僕は隼に空手の話を振った。
暫く話していると、岡山の高校生が話しかけて来た。
全国大会にもよく名を連ねる空手の強豪高の2年生で響(ひびき)くんという名前だとのこと。僕らも自分たちのことを自己紹介がてら話した。
空手の話が盛り上がり技術的な話になると、隼が立ち上がり「こうですか?それともこうですか?」と興奮気味に動き始めた。
小柄な隼でも立ち上がると小さな股間が完全に露わになる。
響は隼の股間に釘付けとなっていた。