3年の引退試合を前に、土日で関西に遠征することになった。
普段は出稽古といっても県内の高校や大学の練習に混ざり、最後に練習試合をすることが多いのだが、全国レベルの動きに目を慣らすため、普段はあまり関わりの少ない関西の高校まで行くことになった。
金曜日の授業の後、軽く練習した後に貸切バスで関西まで移動。道中は備え付けのカラオケで盛り上がって普段なかなか部員達と遊びに行けないので楽しかった。
20時前に大阪のホテルに到着すると、次期部長として部屋割りを任された。
(あれ?まだ承諾していないんだけど…)
なるべく同学年でペアを組んで決めたのだが、僕と同室となった奴が「翔はイビキが凄いから寝れない。誰か変わってくれ。」と言い始めた。
ムカつくな…と思っていたが、そんな理由(イビキ)を付けられたら誰もが嫌がる。
(どうやらこれは次期部長と銘打って任された僕に対する嫌がらせだと感じた。)
1年生にまで声をかけ始め、隼が「翔さん、そんなにイビキ無いですよね。」と言ったのを良いことに隼と同室になった。
部屋に荷物を置くとすぐに集合し大宴会場の一部で食事になった。
大宴会場の反対側には別の団体が同じ様に食事を摂っている。
どうやら岡山から同じく遠征に来た高校の様だ。
顧問の先生は早々に食事を終えると、岡山の高校の顧問の所に行き、何やら就寝後に一杯やろうと話し合っている様だ。
岡山の高校生達は楽しく駄弁りながら夕飯を食べつつ、時折こちらを睨む様に見つめてきた。
僕らは…その目線が気になって目を向けられないでいた。