隼に遅れて5分、僕も武道場に戻った。
動きの戻った隼を見て、練習が終わった後で部長に呼び出された。
「翔、隼と何を話したんだ?隼の動きが前より良くなっているみたいだ。」
(えっと…)
翔「隼の悩みを聞いてあげて…僕も少し悩みを打ち明けて…みたいな…」
(嘘は言ってないよな、うん。)
「そうか、ならそれ以上は聞けないな。」
翔「はい、すいません。」
(良かった、話せる内容じゃないし…)
「隼の姿を見て、3年みんなで話し合って決めたんだが、翔、お前が俺らの次の代の部長にしたいと思う。やってくれるか?」
翔「え?僕ですか?まだ先輩達も引退してないじゃないですか?」
「前から次の部長について話ていたんだけど、お前は頼りないかなって意見で半々に別れてて。でも今日、後輩の不調の際に短時間で解決して戻ってきたし、これでも俺はお前を推してたんだぞ?」
(隼との事は特殊な状態だし、僕みたいな人間が部長とかムリだろ…。)
翔「ありがとうございます。でも少し考えさせて下さい。」
そう言って部長との話を終えた。
自転車を走らせ帰宅に就くと河原道で隼が待っていた。
隼「部長さんと何話していたんですか?」
翔「次の…部長?」
隼「え?翔くんがしてくれるんですか?」
翔「まだするとは言ってないけど…。」
隼「翔くんが部長だと頼りになるんだけどなぁ…。」
翔「お前はただ他の人だと甘えれんからやり難いだけだろ?」
隼「そんなこと…あるけど…でも僕は翔くん部長だと嬉しいし、頑張ろうって思える。」
翔「俺は他の奴でも良いと思うんだけど…。」
隼「僕、他の2年生だと勝てちゃいますもん。」
翔「部長って、強いか弱いかじゃなくて、統率力とかがあるかないかじゃないの?」
隼「翔くん、いざって時は声かけてくれるし、1年はみんな慕っていると思うよ?」
翔「そう…かなぁ…。」
隼「そうなんですってば。」
(少しむず痒い)
隼「だから翔くんが部長で決定!良いですか?」
翔「わかった、考えとくよ。」
隼とは別れ家に着いた。
でもまだ踏ん切りはついていなかった。