蹲る隼…
傍らに立ち竦む僕…。
数分経っても僕は何と声をかけてあげれば良いかわからなかった。
今更ながら、「お前、逝ったんかぁ?」と嘲笑い罵ってあげた方がいつも明るい隼にとっては誤魔化せて優しかったのかもしれない。
しかし、この虚無な時間のせいでそのタイミングさえも逃してしまった。
10分は経過しただろうか…
薄い月明かりの下、川原に佇む2人だけの空間は、寧ろ常久とも思える重い時間に感じた。
隼「ごめんなさい…」
翔「いや、あの、えっと…」
隼「気持ち悪いですよね、すいませんでした。」
翔「いや、俺の方こそごめん、いやごめんなさい。」
隼「僕は…いや、先輩の手の中で…僕…。」
両手で顔を覆い下を向いたまま立ち竦む隼。
僕はとんでもないことをしてしまった…と焦った。
翔「ごめん隼、いつもみたいにふざけていたら…でもごめん、俺のせいで嫌な思いさせてしまって、ごめん。」
平謝りする俺をみて、何故か少し笑って
隼「何で先輩が謝るんですか。先輩に嫌な思いをさせたのは俺ですよ?」
翔「いや、悪いのは俺だよ、ごめん。」
隼「だって…、だって俺、翔くんの手の中で…、あの…逝っ…ちゃったんだよ?」
翔「そうさせてしまったのは俺だろ?」
隼「いや、あの…逝っちゃった俺が悪いんです。すいません。」
翔「いや、俺が隼を逝かせてしまったんだよ。ごめん。」
お互いにごめんごめんと謝るやりとりを繰り返す中で、僕が隼を逝かせたのは2回目だと気がついた時、ついつい吹き出して笑ってしまい、それを見た隼も笑い始めた。
さんざん笑った後、「この事は2人だけの内緒にしよう」という事でお互い納得し合った。
気持ちが悪いからとその場で後ろ向きになり股間を隠しながらパンツを脱ぐと、ズボンを直穿きした。
パンツはそのまま丸めてズボンのポケットに押し込んだ。
その後はいつもの様にゲームの話をしながら2人で歩いて家路についた。