翔「俺、チャリだし。お前走れよ。」
隼「いやいや、一緒に乗せてくださいよぅ。」
翔「さすがに家まで30分も乗せたくないし。身体やばいくらい疲れてるし。」
隼「そんなん、俺も疲れてますし。」
翔「お前が要らんこと言ってるからこんな事になったんだろ、知らんし、走れよ?俺、嫌だかんな。」
隼「そんなぁ…じゃあ僕が漕ぐんで翔さんが後ろに乗る。これでどうですか?」
翔「素直に走れやぁー」
隼「翔さん、お願い、お願いします。」
両手を合わせて懇願する隼に「まぁええよ。」と言うと、「よっしゃー」と飛び上がりながら喜んでいる。
やはり隼はまだまだ体力が残っているみたいだ。
傍に畳んでいた服を着ると、自転車を2ケツしていつもの河原沿いを帰る。
9時を過ぎると人も車もめっきり少なくなる。
いつもは1人で黙々と漕いで帰っているが、今日はエンドレススピーカーの隼と一緒のため、いつもの河原道が少し楽しかった。
夕方の事を思い出して、肩を掴んでいた手を両脇から回して腹で手を組んだ。
密着度が高くて少し笑けてきた。
隼「どうしたんっすか?」
翔「え?あぁ、お前、夕方にこうやって乗ってたからやってみた。なんか密着しすぎて可笑しくなって。ってか、お前汗だくだな。」
隼「先輩だって汗だくでしたよ。」
翔「そりゃそうか。なら嫌だったろ?」
隼「別に嫌じゃないですけど汗くらい。」
翔「まぁお互い汗だくだもんな。」
そんなことを話しながら走っていると、隼が少し足を広くして漕いでいるのに気がついた。
僕は…実体験から…確信した。