私は翔、33歳。
関東のとある商社でトップ営業マンだったのだが、持ち上げた上司が出世競争で負けた事が運の切れ目…
新たな上司から告げられたのは、離島にある水産会社の社長に栄転…所謂左遷である。
しかし給料は格段に上がり、更に会社経営は完全に一任されており、栄転時に『君の好きにして良い。』と言われ、出世街道から離れることとなった私は、自暴自棄になりつつも「好きにさせて貰います。」と啖呵を切って本社を後にした。
島に渡ると我が水産会社は存在するが買収したところの様で、買収先から来た私は完全なる余所者…人間関係は最悪で針の筵だった。
社長就任の挨拶の直後、全社員分退職届を出され、「今月で辞めさせて頂きます。」と専務から告げられ、この人生詰んだな…と悟った。
しかし、ここで本社に戻っても、窓際族は確定。
完全な自由を得たのだと開き直る事にした。
経営方針は完全に一任されている事は間違いない。
むしろ本社の人間達は私が根を上げて辞めるのを指折り待っているだけだと。
私は現場視察を兼ねて東南アジアの国々を周り、出稼ぎに来れる若者をリクルートしてきた。
これだけで1ヶ月も要した。