そうか、今日は日曜日か。朝から人混みの多さでそう気がついた。
食料品を買った後、ブラブラと店を回っていると、神楽のTシャツが目に入った。隼が喜ぶかな?そう思うな否やカゴに商品が入っていた。
帰宅後は多方面に連絡して仕事の依頼の確認をした。
時代と言うべきなのか、悲しい事にお参りして欲しいと依頼される社の数は年々増加する一方だ。反面、私の仕事は増えるのだが。
依頼された地方の日程を調整し、来週のお祭りの後に島根、鳥取方面に向かう事にした。
夕方、隼が吉川さんと共に帰って来た。
「中村さん、今日はとってもありがとう。隼くんが頑張ってくれたお陰で大助かりだよ。」
そう言いながら隼の頭をクシャクシャっとすると両目を瞑り肩を窄めながら照れ笑いをしている。
『どうやら吉川さんに受け入れてもらったみたいだな。』と思い、「お役に立てたなら良かったです。また何かあれば来週のお祭りが終わるまでは居ますので。」と伝えた。
「ほんと?じゃあちょっとお言葉に甘えても良いかな?山の柿の収穫をしたいんだけど、私ももう高齢だし、少し諦めてかけていたんだけど、お祭りの日まで助けて貰えるかね?」
「わかりました。存分にお使い下さい。な?隼!」
「はい!勇人さんに成り変わり、お手伝いさせて頂きます。」隼の言葉は力強かった。
「代わりといっちゃ何だが、ウチの婆さんが作ったご飯を食べに来ないか?」と誘われ2人でお呼ばれした。
この地域の農家のまとめ役の吉川さんの家では近隣の皆様も集まり大宴会状態であった。
末席に座りご飯を頂いていると、隼がボーッと目線で何かを追いかけている。
目線の先には可愛らしい髪の長い女の子がいた。
「可愛い子だな。」と言うと戸惑いながら「はい、同い年の子みたいです。」と答えた。
これは?と思い、「名前は?」と聞くと「葵(あおい)ちゃんです。」と歯に噛みながら答えた。
「ご飯よりも他のものが『食べたい』んじゃないか?」と聞くと「何言ってるんですか?辞めてください。」と言いながらも常に葵ちゃんを見つめていた。目線が合うとお互いに会釈をしてソワソワしながらも笑顔でいた。
帰り道、「吉川さんのお孫さんらしいよ?」と言うと、「そうなんですかー。」とあっけらかんとした返答。
「来週のお祭りにも帰って来るらしいぞ?」と話してもややボーっとしている。
股間を鷲掴みにして、耳元で「葵ちゃん、お前のバリバリ働いている姿を、ずーっと目で追ってみていたらしいぞ?」
と言うと「ほんまですか?」と喜んでいた。