今日の社は山道に沿った場所にあるが4ヶ所連続で山を回るため筋力よりも体力と気力がいる。その分時間がかかるため、昨日の様に2倍の時間をかけて登るわけには行かなかった。そのため隼を一緒に連れて行くかどうかを迷っていた。
何度かチラチラと横を見ては俺の表情を伺う隼。
わかってはいたが、昨日の隼の体力と今後の隼のプライドとを天秤にかけている最中だったため、「なんだ?」と少し冷たく言い放った。
「なんか怒ってますか?」と聞いて来るので、迷っている事を正直に伝えた。
「勇人さん、さっきのお願いの件、覚えていますか?僕が勝った件です。」真面目な顔をして話し始めた。
「今日一日、僕はリュックを背負わせて同行させて下さい。僕は体力もないからまた迷惑をかけてしまうかもしれません。でも最期までやり切ってみせます。お願いします。」と懇願してきた。
同行するだけじゃなくリュックを背負うとなると、正直、無謀だと思った。がしかし、隼の誇り高きプライドを知って尚、その願いを跳ね除ける勇気はなかった。
「わかった。やりきってみなさい。でももしも俺が無理だと判断した時には素直に従う。それで良いな?」と話すと「はい!」とキレの良い返事をした。