細い山道を5分も走らせると目的地に到着した。
山肌の少し開けた場所に駐車すると車から降りた。
到着したよと伝えると隼も意気揚々と車を降りた。
山々が一望できる場所にひっそりと小さな神殿が建っている。
「神社を参拝するんですよね。」と言うので違うよと答えた。隼は頭を傾げていた。
ビニールシートを敷いて車の荷物を下ろしておく様に隼にお願いした。隼はわかりましたと即座に荷下ろしに掛かった。
「荷物全部下ろしましたよ。」と額の汗を拭いながら神殿に駆け寄る隼。ありがとうと言いながら襖を開けた。
「じゃあ荷物の中から太鼓と撥を取ってくれないか?」と言って神殿の神棚の準備に取り掛かった。
しばらくすると背後に気配を感じ振り向くと隼が立ちすくんでいた。
「太鼓持ってきてくれたのか?ありがとう」と言うと「え?太鼓ですか?すぐに持ってきます。」と言うと、車から太鼓を持ってきた。
「勇人さん」と嬉しそうに持ってくるので、撥はと尋ねると焦りながら再度車に戻り「勇人さん、撥ってこの太鼓を叩く奴で良いんですよね?」と聞いてきた。
「そうだよ、ありがとう。じゃあ今からしばらく中には入らないで時間を潰しておいてくれとお願いすると、私は神殿に篭った。