愛媛県では有数のとある神社に伺った。高齢のこの宮司は昵懇の仲とまではいかないが私がこの仕事に携わり始めてから大変にお世話になっている方だ。
「中村です。この度もよろしくお願い致します。」
「中村さん、いつもお世話になっております。中でお茶でも頂いて下さい。あれ?この子は?」
母屋に入りながら私の後ろで元気よく挨拶をした彼のことを聞いてきた。彼が助手だと話すと檀家の子かね、信心だな。と感心していた。
お茶を頂きながらこの度の依頼について粗方の説明を受け、事前報酬を得て出発した。
車に乗ってすぐに「中村さんって言うんですね。」と聞いてきた。
え?とも思ったが、私は名前さえ教えてないことを今更ながら思い出した。
「そうだよ、そういえば僕の事は仕事のこと以外は話してなかったね。目的地までは1時間以上あるから少し話しておこうか。
僕の本名は中村勇人、昔の総理大臣の池田って人と同じ名前みたいだね。詳しくは知らないけど。
あとはこれも内緒にしてたんだけど、実は宮司なんだよ?」
それは知ってます…と笑いながら言った。
「はやとさんって言うんですね。○○さんは偽名だったんですね。これからはやとさんって呼んでもいいですか?」
私が頷くと『はやとさん♪はやとさん♪』と、リズムをつけて俺の名前を小声で嬉しそうに連呼している。
「そういえば、君の名前は何って言うの?」
「僕ははやぶさって漢字を書いて隼(しゅん)って言います。」
じゃあ『しゅん』と呼ぼうかな、と言うと「はい」と快活に答えた。
何か聞きたい事とかないかと尋ねると、ちょっと聞きにくいんですけど…と前置きをしてきた。
なんだと聞き返すと「はやとさんって、あのサイトを見ていたってことはLGBTなんですか?」と聞いてきた。
一瞬躊躇したが、隼との出会い自体がそのサイトであったため、隠すのは辞めた。
「僕はね、バイなんだよ。女性とも男性ともsexしたことがある。女性との方が回数は多いけどね。」
「そうなんですね。じゃあ僕のことをそういう目で見てるんですか?」と、立て続けに聞いてくる。
「その質問に何と答えたらいいんだい?もしも君のことをいやらしい目で見ていたとしたら、君は迷惑なのかな?」と、困る質問に対して少し困らせる様な質問で返した。
「はやとさんは僕の恩人ですから何でもしたいと思っています。身体を売る覚悟でしたから」と笑いながら話している。
「じゃあズボンを今すぐ脱げと言われたら脱ぐのかい?」
そう話すと隼はほんの数秒考えていたがジャージを足首まで下ろした。
「えーそれだけー?」と困らす様に催促すると、次は考える時間もおかず黒のボクサーを足首まで下ろした。
躊躇しないねぇーと笑いながら言うと、「昨日から僕の体ははやとさんに預けています。」となかなかなセリフをはいた。
またもや俺のS心に火がついてしまった。