美容師はカットモデルを募集し練習しなければならない。普通は美容院に来る客などにお願いするみたいだがうちのサロンは自分で探さなければならない。今の時代、インスタやTwitterなどSNSを活用して募集すれば集まりそうだが意外と難しい。約束してドタキャンされたり連絡が取れないこともよくある話。
だから、アナログだが街中で声を掛けてスカウトするやり方が未だに行われている。今回は、男子学生をスカウトし、カットモデルと同時に大変身させていわゆるビフォーアフターの企画も兼ねていた。
ある日、学生が多く集まる場所に行った。率直な感想としてはもう完成系が4割、アフター後の変化が期待できないのが5割といった所。それでも残りの1割に声をかけるが警戒してNG。6時間が経過しても結局見当たらず。そんな時、大きなボストンバックを持った彼が歩いてきた。高身長で顔は小さめ、スタイルはいい。俺は声をかけた。カットモデルの趣旨を話した。「興味ありますよ」との彼の言葉で近くのスタバへ。
「何飲む?」と俺が聞くと「アイスコーヒー」と彼。結構店内をキョロキョロみてる。
テーブルについて再度趣旨を説明すると「やってもいい」との返答。
彼は、顔立ちは伊●健太郎のような可愛い感じ。髪の毛は結構伸びている。プロフは178.60.18だった。何でも今日他県からこの地方都市に出てきたばかりだったのだ。
名前は健太郎としよう。俺は174.60.25ゆうと。
美容院の名刺を渡してLINE交換した。
「じゃ2日後の朝、ここにきてね」と立ち去った。
ちゃんときてくれるか心配だったが純粋な感じだったので信じることにした。
それから2時間後、健太郎からLINEが。
「予約していたはずのホテルが予約できていなかったので今日泊めて貰えませんか?」と。
「え、マジか!」でもせっかくのカットモデルだし仕方なくokし、先程のスタバへ迎えに行った。
「ゆうとさん、こっち、こっち」健太郎は無邪気に俺に手を振った。
恥ずかしすぎるぜ。
俺は健太郎を連れて自分のアパートへ。