土曜、11:30
健(もうすこし、もう少しで研修終わる。早く終われー。)
あと30分で会える男にドキドキしている、男の俺。
やっぱ変だよな…なんて思っても、気持ちは正直だ。
本部の研修室は、寒いほどに冷房が効いている。
健(チルドの冷蔵庫じゃねぇんだから…寒すぎるだろ)
SV「〜ですので、今後はよろしくお願いします。今日はありがとうございました。」
皆「お疲れ様でしたー」
研修が終わったのは、11:46
十分間に合う。
俺はさっさと研修室を出て車に乗り込んだ。
健「あっっっつ!!!とりあえず窓開けてクーラーも付けて!」
車の中は異常に暑い。まるでサウナのようだ。
健(雅兄も暑いはずだ、冷房効かせとこ)
さっきまで冷房効きすぎと思っていたのに
車の中はガンガンに冷房を入れまくる自分が
なんとなく笑えた。
11:58 予定通り自分の店に着いた。
健「雅兄!お待たせっす」
雅「おー、研修お疲れさん!どうだった?」
ニヤっと笑うその顔は、反則モノだ。
そして、被っているキャップがすごく似合っている。
健「あぁ、全然です。余裕っすよ」
実際は、雅兄と会うのが待ち遠しくて
半分も聞いてない。
雅「またー、俺と会うのが楽しみで、半分も聞いてなかったろ?」
健「え!い、いや、ちゃんと聞いてましたよ!」
雅「おいおい、図星かよw」
いじわるな事を言う雅兄は、悪戯っ子の子供のようだ。きっと、お子さんもこんな感じなんだろうな。
そう思うと嬉しくもあり、切なくもあった。
雅「じゃいこっか!」
そう言って車に乗り込む。
~~~~~~移動
雅「次の角ら左だな」
健「あ、見えてきましたね。うわー、客多そうっすよ」
雅「あちゃー、まぁ土曜だしな。少し待つことになりそうだな」
店内は満席で、外には順番待ちしている客がいる。
雅「さ、き、た…っと」
受付名簿に名前を書いて外で待つ。
…。暑い。汗が流れ落ち、白のシャツが少し透けるようだ。
雅「キャップん中も、あちーー。あ、健介。汗でシャツ透けたんぞ」
健「あ…。やべ…見ないでください。」
雅「えー、なんでだよー。見せろよー。ほら、ここ乳首か?」
そんな事を言って、ツンツンと押してくる。
まるで男子高校生だ。
健「あっ…ちょ…ダメっすよ。」
雅「お?お前ここ感じんの?エロいなー」
健(ちょ…マジでやめてくれ…勃っちまう…)
そう思ってると、店員が俺たちを案内するために呼んだ。
健(ふー、助かった)
店の中は涼しく、窓からは海が見える。
店員「こちらの席でございます。」
雅「おー、眺めいいな。」
健「そうっすね」
俺は恥ずかしさから、そっけない返事をした。
雅「じゃあ取りに行くか!」
雅兄は結構マイペースなようだ。
健「雅兄、結構食べるんすね。」
雅「ん?健介が食べねぇだけだろ。たくさん食えよ」
健「俺はちょいちょい追加しながら食うんで。てか、デザートも持ってきてるし。ほんと、甘党なんすね」
雅「おう、甘いの好きなんよ。可愛いだろ?その分、辛いのは食えねぇ」
健「へー。意外。俺は辛いのも全然いけます?」
雅兄の可愛い一面も見れて、胸キュンしていた。
雅「さ!そろそろ出るか。」
ひとしきり食べたら、会計を済ませて店を出る。
健(あー、もう終わりかー。これから帰るんだろうな)
雅「おっしゃ、じゃあ次は雑貨屋行こう!」
健「え?もう帰るんじゃないの?」
雅「ん?今日は帰らねぇよ?俺、今日健介んちに泊まるつもりで来たけど…」
健「え!!!聞いてませんよ!」
雅「あ、そうだっけ?まぁいいじゃん、明日の午前中まで暇なんだろ?一緒に過ごそうぜ。」
健(ま、まじかよ…俺、耐えられるかな…)
雅「俺も明日は昼出勤だし、制服も持ってきてるからさ!夜はパーッと酒飲もうぜ!」
本当にこの人はマイペースだ。
健「で、でも布団一つしかないっすよ!あとはソファしかないっす。」
雅「あ、ソファでいいよ!それか、俺と一緒に布団で寝るか?」
健「い、いや。ソファで寝てください!」
雅「えー、つまんねぇのー。一緒に寝よーぜー。」
健「む!り!です!」
雅「なんだよー、ワクワクしてたのになぁ」
健「え?それって…」
雅「ん?ほら、なんか修学旅行みたいで、ワクワクしねぇ?」
この人は本当、男子高校生なのかもしれない…。
健「いいから!車に乗ってください!」
正直、俺は期待していた。
胸が高鳴っていた。
まさか、あんな激しい事になるなんて
思ってもみなかった。