♪♪LINE音
雅《健介、次いつ休み?》
店のパソコン(ストコン)で発注数をいじっていたら、LINEが鳴った。
画面に出ている表示を見て、そしてカレンダーに目線を傾ける。
次の休みは、今週末の土曜だ。
ただ、その日は午前中に本部での研修が入っている。
健《お疲れッス。次の休みは土曜の昼からかな。どうしました?》
遊びの誘いかな…なんて思いながら、LINEを返す。
すぐ既読になり、返信が返ってくる。
雅《土曜は午前になんかあんのかー?》
健《その日は午前に本部で研修なんすよー…》
雅《げ、まじか。大変だなぁ店長…》
健《まぁそれが仕事なんで。土曜は午後から日曜の午前まで休みもらってます!》
雅《お!マジか!俺もさ、息子がテニスの試合があるから、午後から暇なんだ。どっか行かね?》
健「お…ま、マジか。デ、デート?…なんてな。ハハハ…」
エリ「え?店長なんか言いました?」
フライヤーでチキンをあげながら、エリカが振り返る。
エリ「デートがなんとかって言いました??」
健「は、ちげぇし。デ、デザートだよ!デザート!セールがあるんだってよ!フラッペのシリーズだろ」
エリ「あー、また今年もやるんですねー。今年は私、発注しませんからね!フラッペは日によって数が動いたり動かななったりするから、めんどくさいです!」
健「そんなこというなよー、今年も頼むぜー。」
エリ「い!や!で!す!」
キッパリ断られた…。
仕方ねぇ、今年は楽な発注は全部任せて
面倒くさいヤツを俺がやるしかない。
健「あ、そうだ。ラインライン…」
健《いいっすよ!どこ行きます?》
そう送ったら、間髪入れず電話が来た。
健「あ、お、お疲れっす。いきなり電話でビビりました」
雅「いや、電話の方が早ぇかなと思ってさ!笑 土曜の午後から海辺のバイキング行かね?」
海辺のバイキング?
そんなところあっただろうか。
健「そんなところありましたっけ?」
雅「ほらあれだよ、先月出来たとこ!シーサイドマルシェ!」
健「あー!ありましたね。あそこバイキングですよね?俺は二人で行くんすか?」
バイキングに男2人なんて、絶対怪しいだろ。
雅「え?俺と2人じゃ嫌?」
健「あ、ちが…そうじゃなくて、男2人でバイキングなんて…なんか、その。変じゃないっすか?」
雅「別に変じゃねぇだろ、俺たち兄弟みたいなもんだし。」
健「ま、、まぁそれならいいすけど。じゃあ、本部の帰りに駅向かいますよ。店の前で待っててくれます?」
雅「おけー、12時でいいか?」
健「了解っす。」
雅「じゃあ、そういう手筈で!よろしく」
健「はい、じゃあ土曜に。」
電話を切ったら、なんとなく体温が高くなってるのに気がついた。
耳を触ってみると暑い。多分、顔が赤いだろう。
雅兄との初の電話に、何故かドキドキした。
健(耳元で、あんな声…反則だろ…)
俺はそんな事を考え、突っ伏した。
ビンボーーーーーーン"!!
「カウンターに来てください」
レジからの呼び出し音が鳴り響く。
エリ「てんちょー!はやくー!!」
店内のカメラをみると、お客が並んでる。
健「やべ(焦) い、いらっしゃい、ませぇー」
赤い顔がバレないように必死に隠しながらレジを行った。
奥様A「あら!健介、いたの!なんか顔赤いけど大丈夫?熱あるんじゃない?」
健「だ、大丈夫ッス…なんともないっす」
俺ってば、意外と照れ臭さや恥ずかしさには
すっげぇ弱いらしい。
外を見ると、雅兄じゃないドライバーが運転するトラックが入ってくるところだった。