コロナで暇なんで、ほぼ実話で
ほんの少しの創作(地域や名前)を入れて
書きます。
「あっついなぁ…。また散らかってるよ。」
俺は松田健介。28歳の独身。
彼女は6年なし。
大学を出てから、一般就職したんだが
訳あって転職し
今は駅前にある、縞模様のシャツの
コンビニで店長をしている。
7月の焼けるような日差しの中
駐車場を掃除している。
ここらは、ヤンキーの溜まり場に
なりやすく、タバコがたくさん
捨てられたりする。
健「ったくよ、ムカつくなぁ。今度来たらアイツらにタバコの吸殻口に突っ込んでやる」
日差しの強さもあって
イライラに拍車がかかる。
黒髪の短すぎない短髪の頭から
首筋にかけて、汗が流れ落ちる。
最近まただんだんと日焼けで肌色が
黒くなってきた。
168センチほどの高過ぎない身長は
痩せ形で、腕は細くはなく
腹筋はうっすら割れている程度で
大学まで続けた空手もあってか
胸筋はそれなりに発達している。
どこにでもいるような28歳だ。
店に戻ると、寒すぎるくらいの冷房が
体を包み、オアシスに来たような感覚。
バイト「てんちょー、本部のSVから電話でーす」
女子大学生のバイトのエリカが
受話器を持って扉から顔を出す。
健「あー、はいはい。今すぐー」
(めんどくせぇな、どーせ、またセールの案内だろ)
毎月毎月来るセール品の納品案内に嫌気が差して電話に出るのも億劫になる。
健「はーい、お疲れっす。店長の松田ですけど。」
SV「あ、もしもし、松田さん?今時間大丈夫?納品の件なんだけど」
健(ほーらやっぱりな)「あー、あれっすか?セールの案内すよね?」
SV「あー違う違う。来週から昼の納品の時間変わるから!その案内です。CDCの時間帯変わるんだわー。」
CDCってのは、チルド系の納品トラックの事だ。
健「え?何時はなるんすか?」
SV「いつも14時だよね?それが13時の1時間早くなるんですよー」
コンビニにとっての1時間は、店舗によっては仕事の順序が変わるため大きい変化だ。
健「え!マジっすか。13時とかまだ昼の客いますけど…」
SV「この間新しい店舗が出来たでしょ?だから、ルートが変わってね。駅前店が最初の方になるんで、時間が早くなるんですわ。よろしく!」
健「あー、分かりました。了解っす。じゃ、お疲れっすー。」
電話を切って、「めんどくさ…」
ぼそっと呟いたら、バイトの中田が
また、ヒョイっと首だけ出した。
エリ「てんちょー、まためんどくさがってる。幸せ逃げちゃいますよー」
健「うるせー、ほっとけ。CDCの時間早くなるらしいから、お前仕事のオペレーション変化しとけー。任せたぞー」
エリ「えー!私がですかー?嫌ですよー、また他のバイトの子から、あーだこーだ言われますもん。店長してくださいよー」
うちの店は半分は大学生で、仕事は出来るんだが、すぐサボろうとする癖があるため、仕事の割り振りは満遍なくやらないといけないんだ。
健「エリ、お前リーダークルーなんだから、それくらい頼むよー。時給上げてやってんだし。な?」
エリ「またその免罪符出してー。来週までにやっとけばいいんでしょー、もう…ブツブツ…」
エリカは愚痴こそ多いものの、信頼できるクルーで、なによりもモノの本質を見極める能力が高く、相手の心を読むのが上手い。
クレーマーの処理も、下手すりゃ俺より上手いから、大学卒業したら次の店で店長してくんなぁかなと考えている。
エリ「じゃ、私上がりの時間なんで。来週までに考えときまーす。お疲れさまでーす。」
エリカはブツクサ言いながらも、心なしか信頼されてるのが嬉しいような表情をしながら帰っていった。
さて、次のシフトのヤツも来たし。
そろそろフライヤーで揚げ物すっか。
汗がひいた体を伸ばして次の仕事にかかる。
その時はまだあんな出会いがあるなんて
考えてもなかった。