でも、彼はさすがにマズいと思ったのか、理性が働いたのか、起き上がって、ボクをとどめました。 そして、後ろ向きになって、さっきのバスタオルを腰に巻き、「ユウ君がここで寝るなら、オレはソファで寝る」と言って出て行ってしまいました。
( コレは後から分かったことだけど、彼のタイプは歳下。 彼にとって、ボクの年齢もまさにストライクゾーンだったんです。 特にボクみたいな男の子はかなりのヒットだったらしく、前からボクのことは気になっていたようです。 だけど、この年齢とは一線を超えてはいけないという理性が働いていて、彼は欲望と理性の狭間で、もがいていたんです)
その時、ボクはベットに横になりながら、潤さんは本当はボクのこと嫌いなのかな、と思ったり、親切にしてくれたのはただ単に責任感からだけだから、ボクがやったことはかなり失礼なことだったんだろうと反省しました。
そしてまた自分には本当に自分を愛してくれる家族がいない気がして、悲しくなりました。 皆んな親切にしてくれたとしても、どうせ家族じゃないし、自分のことはまた忘れ去られると思ったんです。 母さんもボクより彼氏のことが大事だし。。。。ボクが何かヘマをすれば、母さんに酷く怒られる。。。。ボクのワガママを許してくれる人は誰もいない、、、って。 どうせボクは要らない子供だったんだって。。。
時々そういうことを考えてしまうんだけど、この時もそう思ったら、涙が出てきました。 そして、ここに居ても、ボクはどうせ邪魔者だと思い、家に帰ろうと決めました。
ボクが部屋を出ると、リビングはスタンドの小さな灯りだけがついていて薄暗く、潤さんはソファーの上で横になりながら、携帯を見ていてました。
ボクが「ボク、帰る、、、」と言うと、潤さんはボクが涙声だと分かったみたいで、「ユウ、どうしたの?」と聞いてきました。 ボクは何も答えず、鼻水をすすりながら、リビングに脱ぎ捨てたTシャツを拾いました。
潤さんは、ボクの腕を掴んで、「ユウ、どうした? 何か気に入らなかった?」と聞いてきます。 ボクは「別に、、、」と答えると、彼は心配そうにボクを見つめてきました。
ボクはTシャツを着て、短パンを履くと、玄関のほうに向かって歩き出しました。 潤さんも、立ち上がって後ろを着いてきます。
玄関で靴を履こうとすると、玄関に貼ってあった潤さんの家族の写真が目に入ってきました。。 ボクはちょっと見て、目を背けました。ボクにはこんな家族はいない、、、って。するとまた涙が出てきて、、、。
潤さんがボクのその様子を見て、何か気づいたみたいで、ボクをそっと抱きしめてくれました。 そして、「ユウ君、、、大丈夫だよ。お前は一人じゃないから、、、」 ボクは潤さんにしがみついて暫く泣きました。
ボクがちょっと落ち着くと、潤さんはボクを抱っこして、部屋に連れていったんです。そして、「一緒に寝よう」と言ってくれました。 ボクは何だか悪い気がしたし、また彼に迷惑を掛けてしまったと思ったけど、彼の親切に甘えてその日は彼の隣で眠りました。
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朝になって、まだベットに寝ていると、潤さんが、「ユウ、朝だよ〜」と起こしに来ました。 潤さんはもう仕事に行く準備をしてワイシャツに着替えていて、パンをかじっていました。 ボクもその週から部活が始まっていて、その日は朝8時からだったので、「あーヤバい、ボクも行かなきゃ!」と言うと、潤さんはトーストを一枚くれて、「コレ食って行けよ」とボクを送り出してくれました。