一度見てしまった、自分の知らない鏡の中の自分。
いつもレッスンやリハーサルでスタジオにある大きな鏡でいろんなポーズや動きをする自分を見ることには慣れているのに。
こんな自分、見たことなかった。
バレエダンサーには何故かイケメンや美人が勢ぞろいだから、俺なんて普通な方なのに、鏡の自分に少し見惚れた。鏡の中の自分のあの表情。自分自身とわかっていても、目が合っていることにすらドキっとした。
そんな事を思っていると。また自分の股間に血流が集中して行く。
あぁ、こんなのダメだってわかっているのに。
大の大人の男性2人も目の前にしてこんな恥さらしをしてしまっている。
他のことを考えようとしても、この今までに経験したことのない独特で異様な雰囲気が、余計にあそこのコントロールを不能にしていた。
まぁ井上さんも神崎さんも、あそこばっかり凝視しているわけじゃないだろうから。と割り切るしかなかった。
ストップウォッチをチラ見したら、ちょうど15分を過ぎたところだった。
神崎「じゃぁこの辺で。」
井上「10分くらい休憩しよっか。」
俺「やったー!!」
神崎「作品は完成したら見せるけど、結構良い感じだよ」
それならまだ報われる。こんな恥ずかしい思いして、ポーズが微妙とか、うまく描けなかったとか言われたら結構しんどい。
最初に井上さんが淹れてくれたコーヒーが冷めていた。