夏休みに入って授業期間から解放されて、友達どうしお互いの家に行って溜まり始めるようになってた。僕は実家暮らしだったから、誘われたらその友達の家に行って、ゴロゴロしたり、みんなでBBQみたいなことを家の中でしたり、漫画読んだり、ゲームしたりしてた。
そんな中、みんなと俊の家に行くことになった。
僕は、それまで男性を性的に意識したことはなかったけど、なぜか俊の家に行くのは恥ずかしい感覚が芽生えてきた。今から言うとあんな美青年の私的な生活空間に入るなんて恥ずかしい!って感じかな。でも、当然、周りの友達は同性の家を行き来するだけのことなので「じゃあX時に俊ん家にみんなで行くわー」くらいのノリで連絡は終わった。
そのあと、他の友達4−5人で俊の家に行った。ピンポンするとがちゃっと、俊の長い腕でドアが開いて奥から「はいはいあがって!」と笑顔で俊が迎えてくれた。俊は、んわいいキャラクターのTシャツに、高校の時の半ジャージの履いていてなんかチグハグだったけど、かっこいいやつはこんな適当な恰好でも様になるんだなーって関心してた。
俊の薄着の姿を見るのは意外と初めてかも。大学では7月でも、絶対に長ズボンだったし。サンダルにハーパンみたいな姿は、僕はいつもしてたけど、俊はしてなかった。半ズボンから見える俊の足は、サッカーやラグビーをしていただけの、筋肉質で、たくましくて、男らしい脚だった。すね毛も、よくみるチリチリのちり毛じゃなくて、直毛の清潔な感じのすね毛が濃いめに生えてて、くるぶしは骨ばってて、とにかくカッコよかった。そんなところに目が行く自分もまず不思議だったけど、たくましい筋肉と男らしいすね毛の濃さがすんごく印象的だった。「ちゃんと男なんだなぁ」みたいな感覚がした。
でも俊の部屋に入ると、部屋はすごくきれいでびっくりした。洗濯物はきれいにたたんでいるし、掃除機もこまめにいつもかけている感じ。部屋には芳香剤が置いてあって、いやな男くさいニオイもしない。トイレも水回りもきれいで、みんなで「掃除しただろ?!」っていじっても、「いや、普段からちょいちょい掃除するようにしてるんだよね」と照れ臭そうに頭をかいてた。本棚には今は懐かしいブリーチとか漫画がこれまたきれいに並べられてて、なんだか見た目からもつイメージと違って、かなり几帳面でこまやかな感じも伝わってきた。
みんなでなんやかんや遊んでたらあっという間に深夜になった。2時くらいになってみんなの睡魔も限界になり始め、友達の一人が「寝るか」というと一気にみんなで「そうだな」って流れになった。
俊の部屋は普通に1ルームだったから、友達は部屋のなかで適当に雑魚寝することになった。僕たちが代わる代わる歯ブラシしていたので、俊は最後に歯ブラシ。もう僕もみんなも床にタオルケットで横になり、早くもスース―寝息を立てるやつも出てきた。
僕は「俊とはなんか気恥ずかしいんだよなぁ。あんなかっこよくて、部屋も清潔で、おもしろいなんて欠点ないじゃん!なんで仲良くできないかなぁ・・・」なんて心の中で考えながら、同じように部屋の中で寝っ転がっていた。
歯ブラシを終えて俊が電気を消し、部屋には窓から差し込む月の光だけが入ってきていた。俊はコンタクトを外したりごそごそしていたけど、みんなも寝ているし、僕も目をつぶって、しゃべるやつはだれもいない。